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悪意 12
もう、憎んでもいい。
殴りながら思った。
もう、殺してもいい。
意識がなくなった女の首を締めながら思った。
もう、生きなくてもいいのだから。
首を締めるのを止めたのはしたいことが沢山あったからだ。
猫よりも、痛めつけるのにいいのは女なのだと知っていたからだ。
意識のない女の両腕を縛りあげた。
悲鳴が聞こえなくなるのは残念だったが、邪魔が入るのを嫌って口を縛って悲鳴をあげさせないようにした。
そしてリビングに女を引きずっていき・・・、猫のために用意した鉄板を切るハサミを持ってきた。
さあ、初めよう。
あまりの胸の高鳴りに死にそうになった。
興奮しすぎていて、勃起したアソコが痛い位だ。
ああ。
ずっとずっとずっとずっとずっとずっと。
あんたを酷い目にあわせたかった。
ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと。
あんたを憎んでいた。
生き延びるためだけにあんたか必要だった。
でもそれさえなくなるのなら・・・もうあんたを憎まないふりをしなくてもいい。
綺麗な女の細い指にそれでもキスをした。
凄まじい憎しみは・・・愛と似ていた。
苦しめるだけ苦しめて・・・。
あんたを殺そう。
少年はそう思ったのだった。
今、少年は街にいる。
もう少年には猫はいらない。
まさかの邪魔がはいったし、その邪魔がまさかまさかのあの獣だったことにも驚いたけれど。
女は殺す。
ちゃんと殺す。
そして女を殺したいくらい、あの獣も傷つけて殺したかった。
考えるだけでゾクゾクした。
あの、獣と一緒にいたメガネ。
・・・不思議な力をつかった。
眉をひそめた。
邪魔だな。
実際、アイツ俺の邪魔したし。
興味もないが、殺せば猫の代わりくらいの気晴らしになるか。
少年は思った。
裸足で血で汚れたシャツとジーンズだけの姿で街にいる。
奇妙な目でみてくる人もいるが、この街の住人らしく、誰声をあげたりはしない。
そっと目を背け、目をあわさないようにするだけだ
なんとかしよう。
服と靴を手に入れよう。
少年は思った。
もう生きなくてもいいのなら・・・。
死んでしまうまでに沢山傷つけて殺したい。
少年はそう思った。
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