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狩り 9

 「オレが殺さんなんてどうして言い切れるんや」   オッサンが濁った目をアイツに向けた。  うん。  あの殺意は本物や。  誰もがよけてとおる。  「あんたが殺したいのはたった一人で、その人間を今はどうやっても殺せへんから苦しみぬいてるんやろ。そこまでアルコールに溺れてまで苦しんでるんやろ。そこまで殺したいのに代わりで満足なんか出来るかい」  アイツはオッサンの目を見て言った。  オッサンは笑った。    「わかるか?」  オッサンはアイツに言う。  面白そうに。  「ホンマに憎いヤツには換えなんかきかん」    アイツは言い切る。  その言葉には苦々しい重みがあった。  「そうやな」  オッサンは楽しそうに頷いた。  普通のオッサンが野球の話でもしてるみたいやった。  普通のオッサンはアルコール臭のまじった悪臭と汚れにまみれてないし、  腹から化け物を生やしてないけどな。  「オレが捕まえて閉じこめる。あんたの仲間は苦しんでる。楽しみのために小さな動物をいたぶり殺すのがあんたらが好きなはずがあらへん。オレが猫殺しを閉じ込めて、真っ白な部屋で殺意だけを満たさせて飼い殺しにしたる」  アイツはそう言って悪意喰いを見つめた。  「だから、猫殺しがどこにいるのか教えて欲しい。あんた達が離れた仲間とそれでも繋がっているのはわかってるんや」  アイツの言葉に悪意喰いは首を傾げた。  考えているようだった。   「あノ身体ヲ住処にシたのハ間違イだッタ。アレは我ラと意志ヲ交わスコトも出来なイ。ダガ一度住処ニするト住処と命を共二我ラはする・・・・」  殺意喰いは考えている。    「知ってる。あんたらは寄生したモノが死ねばあんたらも死ぬ。そして死ぬ時に出した胞子が次の寄生先を探し、また新たな寄生先を見つける。そうやって生き続けているんやろ。でも今のままやったら、苦しいとあんたらの仲間は泣いてんねん。猫が可哀想やて泣いてんねん、猫が可哀想や助けて、とオレに言うたんや」  アイツは言った。  「待って?母親を殺そうとしてたけど母親は可哀想やないの?」  僕の純粋な疑問。  「人間同士の愛憎の果てなんかどこが可哀想やねん。猫はな何一つ悪ないのに殺されたんやぞ!!」  アイツは憤り、悪意喰いも頷く。  猫可哀想。  それは僕にも異存はない。    「猫殺しの居場所を教えてくれ」  アイツは頭を下げた。  「・・・当主、お前ハ我々ノ側でイいのカ?オ前は人ノ側でナくていイのか?」  悪意喰いかアイツを悩むように見つめる。  膿んだような目が、やはり僕には気持ち悪い。  「俺らはあんた等の側や。最初から」  アイツは迷いなく言った。  「我ガ指を噛ミその血ヲ飲め。我らノ能力の一部ヲ与エる。我らノ位置がソれでわカル。我らとお前ハ契約ノ関係とナる。ソレと引き換えニ仲間ヲ助けテクれ」  悪意喰いはその醜い、しわくちゃの腕をのばし、7本ある指の一本をアイツへとのばした。   血を飲めって?  そんなん飲んでどうなんねん。  「待て!!僕が飲む」  僕はその指に顔を近づけるアイツに言う。  お前が咥えても飲んでもええのは、僕のチンポだけやろが !!  アイツは首を振る。  「悪意喰いとの契約は長年のオレらの夢やったんや。彼らの生態の解明はオレらの知識を広げる。ここは黙って下がっててくれ」  アイツは言った。   目が輝いていた。    コイツの夢は、化け物達か「何であるか」を解明すること。  一生を賭けて、ダメでも次に託してでもそうするんや、と僕にコイツは語った。  猫殺しの件以上に、悪意喰い達との契約はコイツには意味があるんか。    僕は面白くなかったけど引き下がった。  好きな子の夢を潰すようなあほやないからや。  それに・・・コイツが何も考えてないわけやないやろし    「・・・当主、お前ハ我々ノ側でイいのカ?オ前は人ノ側でナくていイのか?」  悪意喰いかアイツを悩むように見つめる。  膿んだような目が、やはり僕には気持ち悪い。  「俺らはあんた等の側や。最初から」  アイツは迷いなく言った。  「我ガ指を噛ミその血ヲ飲め。我らノ能力の一部ヲ与エる。我らノ位置がソれでわカル。我らとお前ハ契約ノ関係とナる。ソレと引き換えニ仲間ヲ助けテクれ」  悪意喰いはその醜い、しわくちゃの腕をのばし、7本ある指の一本をアイツへとのばした。   血を飲めって?  そんなん飲んでどうなんねん。  「待て!!僕が飲む」  僕はその指に顔を近づけるアイツに言う。  お前が咥えても飲んでもええのは、僕のチンポたけやろが !!  アイツは首を振る。  「悪意喰いとの契約は長年のオレらの夢やったんや。彼らの生態の解明はオレらの知識を広げる。ここは黙って下がっててくれ」  アイツは言った。   目が輝いていた。    コイツの夢は、化け物達か「何であるか」を解明すること。  一生を賭けて、ダメでも次に託してでもそうするんや、と僕にコイツは語った。  猫殺しの件以上に、悪意喰い達との契約はコイツには意味があるんか。    僕は面白くなかったけど引き下がった。  好きな子の夢を潰すようなあほやないからや。  それに・・・何度もいうがコイツが何も考えてないわけやないやろし  

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