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狩り 16

 ソイツの悲鳴が甘い。  ソイツの苦痛で締め付ける穴が佳い。  ソイツの血の匂いがたまらない。  ソイツの血まみれで歪んだ顔を見るのが楽しい。  首を血が滲むまで噛んだ。  悲鳴は走る列車の音に消されるだろう。  聞こえたところで。  ここでリンチにあった青年が死んだ事件は数ヶ月前だった。  誰も通報などしない。  まだだ。    まだだ。    少年はまたソイツの中に放った。  たまらなく気持ちよかった。  コイツを傷つけるたびに、惨めな自分が死んでいく気がする。  自分を傷つける、あの女や、自分を馬鹿にして公衆便所代わりに使った連中達よりも、少年は憎んでいたからだ。  誰にも愛されず、誰にも優しくされないことよりも、それを望んでしまう、そんな自分を。  誰よりも。  今少年は自分を愛していた。  自由自在に人を傷付けられる自分を。  楽しみのまま人を貪れる自分を。    愛されたいとも優しくされたいとも願わない自分を。  楽しい。    楽しい。  自分を好きでいられるってこんなに最高のことなのか。     ソイツの指を吐き出し、もう一本噛み切った。  また悲鳴が聞こえて、まだ挿れたままのソコが堅くなった。  たまらない。   後何時間コイツはもってくれるだろうか。  また腰を叩きつける。  光の消えた目に興奮した。  絶望しかないその表情がたまらなかった。  惨めで、哀れで、そのくせ、身の程知らずな望みを持つコイツを痛めつけて犯しつづけたかった。  出来るだけ長く生きていてくれ。  楽しみたいから。  少年はそう願った。  愛されたり、優しくされたい望みを捨てた時に、初めて自分を好きになれたことをおかしく思いながら。        まだ折っていない反対側のソイツの腕を少年は折った。  こちら側も折ってやらないと。  不平等だ。  クスクス笑いながら、腰を叩きつけながら折った。    何故、こんなにカンタンに人の骨を折ることが出来るのか、疑問にもおもわなかった。  ただ聞こえる悲鳴の心地良さと、締めつける穴の気持ちよさに声を漏らしてしまった。    ああ、いい。     またたっぷりと放った。  声を出しながら放った。  何度でも出来る。     そのことにも疑問をもたなかった。  楽しくて気持ち良かった。  こんな惨めな生き物でも、役に立つことが面白かった。  犯せる分だけ、猫よりマシだと思った。  身体を震わせ、残りをしごきとるように動いた。    そして、また再奥まで犯すために動こうとした時、声がした。  「やめろ。その子を放したれ!!」  その声は命令した。  なぜだか気に入らない声だった。   今の俺に命令したことをのぞいても。  少年は思った    声だけで虫唾が走った。  そして胸が高鳴りもした。  待ってたものも来たこともわかったから。  少年はゆっくりその穴から自分のものを引き抜いた。    楽しいセックスは終わり。    でも、もっと楽しいことがはじまる。  笑顔を浮かべ、ズボンを引き上げてながら振り向いた。  そこには待っていたモノがいた。  美しい獣。  獣は無表情に派手なスタジャンのポケットに手を突っ込み立っていた。  相変わらず、何にも従わない自由さを纏っていた。  この獣が欲しかった。  少年は微笑む。  くわえこみ、突っ込み、犯され犯して、殺したかった。  嫌がるの無理やり自分のに挿れて、それでも感じさせてイ貸せてやってもいい。  絞りとってもいい。  コイツのチンポは気持ちいいだろう。   無理やり後ろの穴に自分の性器を突っ込んで犯して悲鳴を上げさせてもいい。  きっとコイツの穴も気持ちいいはずだ。     そして隣りの貧相なメガネにも仕方なく目をやった。  コイツが自分に命令したのだとわかった    あの女を殺すのを邪魔した奴だ。  コイツは嫌いだ。    わかる。   コイツは・・・気に入らない。  コイツは・・・ただただ嬲り殺す。    

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