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狩り27

 僕は潰れた車の後ろに飛び込んで隠れた。  少なくとも、見えなければ狙いは荒くなる。  今でも・・・狙いが正確とは言わへんけどな。  猫殺しは時間を稼いでいるだけや。  そろそろ来るやろ。    「猫殺しをそこに動けんようにできるか?3分でええ。今お前がいるそこや!!」  アイツの声がした。  無茶いうなぁ。  僕もう結構弱ってるし、どうすればええのかもわからへんねんけど。  「分かった!!」  僕は叫び返す。  それでも僕はそう言う。  僕は僕に出来ることやったら何でもしたる。  出来へんこともあるけどな。  これは・・・出来ることや!!  多分・・・。  ダンッ  僕が隠れた潰れた車を凹ませ、猫殺しがそこに立っていた。  5メートルを一飛びで飛んだのだ。  コイツにはたいしたことじゃない。   高層ビルから飛び降りても平気だし、走るトラックに飛び乗れるやつや。  「今から手足、折るね?」    優しい声で車の上から見下ろされ囁かれた。  予告だ。  飛んでくるだろう。  僕に襲いかかってくるだろう。  僕はもう避けきれないだろう。  もうちょっと身体の反応は遅い。  それは猫殺しも分かってる。    「無力やんね。嫌なのに押さえつけられて、嫌なことされてるのなんて。惨めでたまらないやろ。でも仕方ないよね。そうされてもしゃあないねん、弱いから。・・・だから俺はね、する方がいい。酷いことする側になりたいんや」  猫殺しは言った。  柔らかい声やった。  「へえ、そうかいな・・・そんなモノの考え方しよるヤツはそうされてもしゃあないな」  僕はあざ笑った。  車の下へ潜り込むように身体を動かす。  車は潰れて、この隙間には入れない。  いや、持ち上げれば・・・。    奥の方は・・・まだ潰れてない。  僕は必死に車を持ち上げた。  片腕をのばすように車の中に入る。   「無駄やね。そんなとこに隠れても」  おっとりと猫殺しが言った。  猫殺しは・・・片手で車を放り投げなげた。  僕はうつぶせになったままの姿で、車の下からあらわにされた。  車が落ちる音を聞きながら石の下に隠れた虫になった気がした。  僕は首だけを回して、うつぶせのまま猫殺しを見上げた。  猫殺しは笑ってた。     僕の身体は流れ出すガソリンとオイルに汚れていた。    真っ黒に汚れた僕を、真っ赤な血に汚れた猫殺しが見下ろす。  それでも猫殺しの笑顔は優しかった。    優しい笑顔とは違って下半身はヤバかった。  股間がギンギンに勃起しとるんが服の上からでも分かった。    ヤる気や。   ガチで。  コイツガチで僕に挿れる気や。  嫌や!!  「手足折って、俺があのメガネ犯すん見とき?その後しよーな。メガネは早めにすますわ。あんたがメインやからな。あんたの意識があるうちにしたいねん」  猫殺しは焦っていた。  早くしたいのがめちゃくちゃわかった。  「手足折ったら止血したるな。少しでも長く楽しもうな」   猫殺しは荒い息をしなが言った。  嫌。  絶対嫌。  僕はアイツに挿れるだけでええの!!  猫殺しは拳を固めた。  拳は地面に転がる僕に向かって・・・降りてきた。    折れるどころか腕や脚が千切れるかもしれへん拳が!!  拳と一緒に覆い被さるように猫殺しの身体がやってくる。  僕はうつ伏せになっていた身体をひっくり返す。  僕は降りてくる猫殺しを迎え入れるように仰向けになる。  そう、迎え入れたかったのだ。  挿れられるためやない。  お前にぶち込むためや。  もちろん、僕のチンポをお前なんかには挿れたらん。  ・・・僕はな、これを探すために自動車の中に潜ったんや。  逃げるためや隠れる為やあらへん。  僕は身体の下に隠していたソレで、僕に向かって落ちてくる猫殺しに向かって思い切り突き上げた。    ソレは野球のバット程の大きさのある、工具。   バールと呼ばれる鉄製の工具だ。  釘抜きのような形状の先端があり、その反対側の端はマイナスドライバーみたいになっているなっている。  そう、まるで鉄製の杭だ。  鋭い杭だ。  僕は下から突き上げる力と、僕に向かって落ちてくる重力を利用した。  猫殺しを串刺しにするために。    

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