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狩り31

 「さて、どうする?この手足を切り落とした身体の方は?」  師匠がアイツに尋ねた。    「オレの顔が利く施設がある。そこに運んでくれ。オレの家の名前を出せば、何も言わずになんとかしてくれる。この駐車場とかの始末も頼みたい。・・・警察の上部にも家の名前を使ってくれ。上手くしてくれるはずや」  アイツは言った。  お前の家なんなん?  「猫殺しはどうなんの?」  僕は気になって聞いた。  「山の中の施設で手足がないまま寿命がくるまで閉じ込める」  アイツはあっさり言った。  自分の影に声をかける。  赤い腕と黒い腕が、意識を失った少年を影からそっと持ち上げた。  「彼の保護も頼みたい。オレの家の名前なら、色々便宜を計ってもらえるはずや」  血で汚れでいたはずの少年の顔や肌はすっかり綺麗になっていた。  赤と黒が一心不乱に味見をしたのは明白やった。    一応、指は猫殺しに食いちぎられた以上は減っていなかった。    食べるのは我慢したらしい。  アイツは少年に自分の上着を脱いで掛けた。  「・・・オレらがソイツを見つけた時、この子、ソイツに嬲られながら犯されてた。多分色々訳ありみたいやから・・・上手く保護してやって。あんたやったら上手くやれるやろ、頼むわ」  アイツは師匠に初めて「お願い」した。  「わかった。その子にとって一番いいようにする」  師匠は神妙な顔で頷いた。  「犯す・・・男を?いいのかな、男のケツってそんなにいいのかな」  ブツブツ言ってるのは兄貴や。  ゲスの兄貴はそれしか考えられないらしい。  コイツホンマに最低や。  知ってるけど。  低い泣き声がした。  男とも女とも、違っていた呻き声は、今は少年の泣き声になっていた。  猫殺しが泣いてた。    もう焼け焦げてない白い喉から漏れる声は少年の声に戻っていた。    手足をもがれた身体は、焼け焦げた肌から、白い肌に回復していた。  手足は最初からなかったかのように切断面を滑らかな皮膚で覆われていた。  淡い乳首も、性器も剥き出しになっていた。  「エロいと言えばエロいか」  兄貴が真剣に吟味してた。  もう男とすることしか考えとらんな、コイツ。    猫殺しの回復する速度は増していた。  殺意喰いの能力の凄まじさを思い知る。  本当に不死身なんや。  でも手足のない猫殺しは動くことさえできない。    真っ白な身体は、蠢くことが出来るだけだ。    「大人しくしとけ。こんな姿になっても誰かを噛み殺すことぐらいできるやろうが・・・大人しくしといた方がお前のためやぞ。これから一生閉じ込められるんやからな」  アイツが冷酷に宣言した。  「嫌やぁ・・・そんなん嫌やぁ・・・」  猫殺しの声が痛切に響く。  「何年生きるかな、お前」  アイツは冷たく追い討ちをかける。  「生きたくなんかないんや・・・もう生きんでええと思ったのに・・・惨めに小さななって生きんでもええって・・・嫌やぁ・・・」  猫殺しは泣いた。  その声はあまりにも哀れやった。  その姿を見ながら兄ちゃんがつぶやいていた。  「あのケツにいれたら気持ちええんか?女のケツと違うんか?」  これ以上ないくらい真剣な顔をしていた。  どうしようもないゲスやった。  もうケツの穴のことしか考えてへんでこのゲス。  知ってるけど。    身内としていつか責任とって殺さなあかんかもな。  師匠が管理してくれてるから大丈夫やとは思うけど。

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