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狩り34
「お前何を・・・」
アイツが止める声を聞いたが僕は気にしなかった。
僕がすることをアイツ以外の誰も止めへんかった。
師匠が止めない理由は・・・それでも猫殺しが危険だからだろう。
手足をどこかへ隠しても、いつか猫殺しがそれを取り戻すようなことがあったなら、猫殺しは沢山殺して沢山暴れるだろうからだ。
兄ちゃんはどうでもいい。
僕らをみおろす一つ目案山子はむしろ、猫殺しが死んでくれた方がいい。
もう猫を殺せなくなるからだ。
アイツの止める理由は・・・道義からなのはわかってた。
それにアイツは殺意喰いが死ぬのが嫌なんや。
誰も猫殺しに生きて欲しくなかった。
でも僕がこうしようと決めたんは、「殺してあげて」と自分の命と引き換えに望んだもんがおったからや。
哀れやな。
僕は猫殺しに初めて同情した。
自分を思ってくれるもんがおることさえ知らんかったなんて。
でも、知ったところで・・・コイツがどうこうなったとは思わん。
同情出来ないヤツに、同情のその価値はわかるわけがないからや。
でも死んだらええ。
優しい化け物の同情がお前に死を与えてくれる。
アイツが走ってきて僕の腕を掴んだ。
僕はアイツの腕を振り払い、突き飛ばした。
お前でも、これは邪魔したらあかん。
僕は刀を抜いた。
今なら殺せると知っていた。
僕は・・・猫殺しの首をはねたのだった。
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