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それから6

 僕は新幹線の駅を出て、アイツのもとへ帰る電車に乗る。  電車に乗れば、デカい赤い鳥居が見えて、僕の町に着いたと教えてくれるやろう。  町を歩けば猥雑さと共に、だからこそ何もかもを飲み込む混沌がある。  猫を殺して楽しむ、悪魔のような人が隣りを歩いているかもしれへん。   殺意を漲らせた男が、身体の中に心優しい化け物を住ませているかもしれへん。  薬に溺れた男が引きずり込まれるのは、小さな社の中で、そこにはそんなところに入るはずもない巨大な蟲が綺麗な女の顔を着けているかもしれへん。  でもこの町は優しい。  何もかもを飲み込む。  ここでは、何もかもが曖昧になる。  美しいものも醜いものも、化け物も人間も、善も悪も、なにもかもを飲み込む。  そして狭間をこの町は抱えている。  あちらでもこちらでもない場所のことや。  でも、この町こそが狭間なのかもしれない。  僕はこの町が好きや。  僕のような獣もここでなら溶け込んでしまえるから。  アイツもこの町が好きや。  ここには沢山の化け物が住んでいるから。  化け物を探究することがアイツの望みだから。   僕らはこの狭間の町にいる。  ここにいて、この狭間を知ろうとしている。    それはアイツの望みとは裏腹に、人間について知る探索なのかもしれへん。    僕は帰る。  僕はいつでも帰る。  アイツの元へと。 END           

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