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Ⅰ 答えは『Yes』しか認めない③

「すみません。コーヒーを!」 不注意にも程がある。 よりにもよって、頭を下げた拍子に残りのコーヒーを全部掛けてしまうなんて。 スーツの茶色い染みか更に色濃くなってしまっている。 どうしよう。 「いえ。気づいてくれたのならいいんです。これからは気を付けて下さいね」 ふわりと舞い降りた柔らかな吐息が、ドキンドキンと脈打つ心臓を撫でた。 (許して……もらえた) 良かった。 いい人で。 「……なんて言うと思うか?」 ………………えっ! (口調が変わった)

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