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Ⅳ 俺はあなたを呼び捨てない⑩
「それはァァァー」
絶対!
確実に!
αの特権濫用。
否。
「やっちゃいけないやつ」
「なぜ?」
「なぜって……」
あなたは政治ジャーナリストだろう。ジャーナリストのあなたが政治の根幹たる法律をねじ曲げてどうするんだ。
「猥褻物 出したらダメでしょう!」
公然猥褻罪 だ。
「それは……」
視線が俯いた。ふぅ、と一つ長いため息が漏れる。
「これのことか」
「そうです」
それ以外にあり得ない。
あなたのジャーナリスト人生は、あなた自身の股間の猥褻物で終わるぞ。
「これは猥褻物ではないぞ」
「なにをこの期に及んで!」
言い逃れも甚だしい。
猥褻物でなければ何だというんだ。
「βとΩの雄自身は猥褻物だが、αのソレと同じにしてもらっては困る」
「………」
困るって言われても~
(同じだろう)
付いてるものは……
「………」
「………」
(雄だし)
「………」
「………」
それとも、まさか★
(αの股間には、別の何かがぶら下がっているのか)
………
………
………
ぶら下がる、ぶら下がる~
「へちま、とか」
「俺の股間はへちまではない」
「うっ」
真川さんが怒っている。
当然だ。ムスコをへちまにされたんだ。
「悪いことをした時は?」
「ごめんなさい」
「よろしい」
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