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Ⅳ 俺はあなたを呼び捨てない⑪
真川さんの股間がへちまでなかった事は、一先ず安心だ。
(良かった)
……って★
全然良くない。
問題は何も解決していない。
俺は、最も大切なことを忘れていた。
(この国は、αが頂点に立つ世界だ)
世界はαが支配している。
国家の舵取りをする政治家は全員αだ。
(αに不利な法律は存在しない)
………にしたって、αだけ公然猥褻に当たらない法律って。
(そういえば、真川さんは真川さん自身が猥褻物ではないって)
「αの性器は高貴だからな。間違っても猥褻物扱いするなよ」
「そういうことォォォ~★」
αは………
己が性器に絶対の自信を持っているんだったァァァ~★!!
身体能力に優れ、IQ、思考力でも圧倒的にβ・Ωを凌駕するαは、生殖能力でも他の二性に抜きん出ている。
αは、己が性器に圧倒的な自負があるんだ。
(真川さんが悪いんじゃない)
これはαの習性だ……
「君がオナニーの仕方を分かっているなら問題ない。念のため、後で見せてもらうとして」
ジィィーっ
「しまった」
俺が気落ちしている間に、真川さんのジッパーが下りてしまった。
今、ここで真川さん自身がこんにちはしてしまったら、ジャーナリスト生命が終わる。
「揉み消す」
「ダメ!」
違うな、あなたは間違っているぞ。
(真川さん!)
「騒ぎを揉み消す前に、騒ぎにならない選択をすべきだ」
バっ!!
ジッパーの下りた前を、俺の両手が覆い隠した。
性器は外に出ていない。
ギリギリ間に合った。
「せっかくだ」
「えっ」
「触っていけ」
…………………………俺の手に触れている、生暖かい~
そもそも、なぜ?
俺の手は、真川さんのズボンの中に入っているのだろう。
俺は、こんにちはしそうになった真川さん自身を覆い隠そうとしただけだ。それが今、真川さんに手を絡め取られて、ズボンの中に入れられている。
あたたかい……
芯を持っていて、熱いコレ。長いな。大きくて太いから、握り甲斐がある。根元には柔らかい袋がぶら下がっている。
(しわしわだ)
「そこは優しくしてくれ」
「はい」
「いい子だ。大事な金玉だからな」
「♠♠♠!!」
ギャアアアァァァァー!!
「俺はなにを触ってるんだァァァーッ」
「ちんこと金玉」
「………♠♠♠」
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