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Ⅴ 仕事に行かないなんて言わせない①
真川さんの体温はあたたかくて。
温もりの中で仄かに香るのは、真川さんのフレグランスだ。
雪のように解けてしまいそうな香りがして、無意識に香りを追ってしまう。
あなたの胸に、顔をうずめてしまう……
(あったかい)
ずっと、こうしていたいな……
あったかくて、ふわふわして、時々髪を撫でてくれるのはなんだろう。
くすぐったい。
…………君にはこうやって、少しずつゆっくり近づいていく方がいいのかな?
(なにか聞こえたような)
くすぐったいなにかが俺の髪にまた触れた。
啄まれるみたいに、優しく……
また啄まれた。今度は悪戯っぽく。
「なに?」
俺の髪で遊んでるのは、真川さんだよね?
「キスしている」
君の髪に……
触れるだけの、掠める唇。
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