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Ⅴ 《おまけ+》淋しい熱帯夜【中編】

…………わからない。 まったく、わからない。まるでわからない。 意味がわからない。 (萌えキュンってなんだ?) 右目と左目…… ウィンクのなにが違うのだろう。 「あ、の~」 「これで君も私にメロメロだね」 (メロメロってなに!) 新しいメロンの品種ですか? (それ、死語です。葛城さん) キラキラ王子様オーラが1割減したぞ。 「さぁ、私をよく見て。胸がドキドキするね」 違う。 ただの動悸だ。 「これがトキメキだよ!」 キラリン★ 「フギャアァァァァ~!!」 またウィンクされた。 左目で。 「いい声だ」 悲鳴だ! 「やはり私の予想通りだ。君は右目のウィンクよりも左目でのウィンクの方がズキューンだね♪」 このα…… 色々と言葉を履き違えている。別の意味で卒倒だ。 「葛城さん」 「はい」 返事だけはいいαだな。 「さっきから、どうして俺にウィンクしてくるんですか」 「αのウィンクはフェロモンムンムンだよ」 「………………」 「………………」 どこが? (ムンムン……って~) 王子様オーラがまた1割削減だ。 「フェロモンウィンクでΩはホの字だよ」 王子様オーラが半減した~~~!! (『ホの字』っなに?) それ、死語だからァァァッ 「これで君ももう、ホの字だね♪」 ……王子様オーラが瀕死だ。 王子様HPが真っ赤になっている。 「そして君へのフェロモンウィンクは、右目よりも左目が相性がいいようだ。左目でウィンクされた方がドキドキするだろう!」 この王子様、思考がアヴァンギャルド過ぎるゥゥゥー!! 「さぁ、受けたまえ。至高の左目フェロモンウィンクー♥」 「やめてぇぇぇぇー」 「愛の頂上へ私と共に!」 「ミギャアァァァー」 「昇天しよう!!」 「イヤァァァァーーー」 ……………………………… ……………………………… ……………………………… ちーん

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