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Ⅴ 《おまけ+》淋しい熱帯夜【THE FINAL②】
「ん?」
「うん」
見上げると微笑む葛城さんに目と目が合う。
気のせいじゃない。
気のせいで片付けられない。
「葛城さんッ!!」
「はい」
相変わらず返事だけはいいな、このα
「当たってる」
「当たってるんじゃない。当ててるんだ」
余計にたちが悪いわァァァーッ!!
葛城さんの……のっ、そのっ
(お股)
こんもりしているのは、気のせいじゃない。
気のせいじゃ片付けられない。
「フェロモンウィンクが通じない君のようなΩに出逢ったのは初めてでね。αの本能が喜んでいる。君に、ぼっ」
「言うなァッ」
「勃起するよ」
言ったァァァァ~
それは、王子様の口にする言葉ではない。
「勃起」
「二回言わなくていい♠」
怒ってはいけない……怒っては……
(葛城さんは悪くない)
これはαの習性なのだ。
αは己が性器に完全無比の自信を持っている。
性器が大きくなるのはαの誇りだ。
葛城さんは歓喜を共に分かち合いたい……そう思っているだけ……
αの習性だから仕方がない。
諦めろ、俺。
硬度を持って膨張したソレを押し当てられても、これはαの習性なんだ。
葛城さんに罪はない。
(葛城さんは王子)
(葛城さんは王子)
(葛城さんは王子)
言い聞かせるんだ、俺。
「勃起とは陰茎に……」
「解説せんでいいッ!」
プシュウゥゥゥー
「頭から湯気出して寝てろォォォッ!」
葛城さんの脳天をかち割ってしまったァァッ!
どうしよう。
ドすけべアヴァンギャルド王子αの習性に、Ωとしての俺の本能が発動してしまった。
葛城さん……無事じゃないな。
生きているかな。
「……葛城さん?」
「はい」
いい返事だ。
「ごめんなさいっ、俺っ」
「大丈夫だよ、心配しなくていい」
葛城さんが生きている。
良かった。
「これしきで、私の股ぐらのアヴァンギャルドJr.が萎える事はない」
キラリン★
ウィンクするな!
ふんぞりかえるな!
アヴァンギャルド王子αも、アヴァンギャルドJr.も!
「心配しとるのはそこちゃうわァァァーッ!!」
プシュウゥゥゥー!!
「永遠に眠れェェェーッ!!」
さらば、エロエロアヴァンギャルド王子α
《おしまい♪》
本編はまだまだつづくよ
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