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Ⅸ 君には渡さないpartⅡ ⑥
真川さん……
さっきから、おかしいんだ。
体が、熱い。
ジンジン痺れている。
体と一緒に思考も痺れていく。
心臓が痛くて、苦しくて、ドキドキする。
心音が左胸を食い破りそうだ。
真川さん……
(今、ここで俺が倒れたら、あなたに迷惑をかけてしまう)
なるべく、目立たないようにしなければ。
大事な勉強会……あなたの大切な仕事場だから。
途中退席なんてできない。
もうちょっと。
もうちょっとだけ、がんばれば……
(あと1分がんばったら、次の1分がんばろう……)
1分ずつなら、なんとかがんばれる。
もうちょっと……
真川さん。俺、あなたの足を引っ張りませんから。
だから……
そばにいさせてください。
真川さん…………
無意識に。
あなたの袖を掴もうと伸ばした手。
しかし手は何もない虚 を掴んで、空を切った。
(痛いッ)
手首に激痛が走った。
その手は吊るし上げられる。
「なぜ、ここにΩがいるのです?」
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