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Ⅹ君には渡さないpartⅢ ⑧
コードがしなる。
蛇のように空中をうねり、飛ぶ。
捕らえた!
形勢逆転だ。
ブンッと空気が鳴った。
ガラガラガラ、ガシャンッ
伸びるコードに引き摺られ、背後で盛大な音響を奏でスピーカーが崩れる。
チィッ
勧修寺先生が舌を打った。
ガッ
床に突き立てたモップを餌に、勧修寺先生が後ろに跳んだ。
コードがモップに絡みつく。
モップが宙に舞う。
カランカラン、カララン
床に漂着したモップが乾いた音を立てた。
逃がした。
勧修寺先生を。
千載一遇のチャンスだったのに。
寸でのところで、勧修寺先生の勘の鋭さが上回った。
追い込みはしたが、しかし。
「ぐへ」
………………
………………
………………
先生、転びましたか?
…………………………
…………………………
あの~
(先生のキャラクターで……)
ぐへ。という悲鳴は如何なものかと~★
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