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Ⅹ君には渡さないpartⅢ ⑩
「勧修寺敬進 39歳、独身。国立帝都大学 法学部 現代立法法政学科を主席で卒業。都内13区衆院選に立候補し、二期連続当選。次期大臣の呼び声が高い、乙女座のAB型だ」
「真川さん、詳しい……」
「ジャーナリストなら当然の知識だ」
そうなんだ★
俺も真川さんの助手として覚えておこう。
(勧修寺先生は乙女座AB型で、特技は乙女座 無双)
モップで天魔降伏 ……メモメモ。
「どうして先生の身長が急に伸びたんでしょう」
「足元をよく見てみろ」
勧修寺先生の足元を?
ゆっくりと視線を下ろす。スーツのスラックスは異常なし。
黒い革靴も綺麗に磨かれていて、異常なし。
特に異常はなさそうだが……
(ん?)
ピカピカの革靴の下……
「下アアアァァァァー!!」
靴の下のソレを指差した。
「ん?」
「先生、下、下!」
「えっ、下がどうしましたか?」
勧修寺先生がドジっ子を発動している。
早く助けなければ。
先生の足の下で降伏 されている……
………………
………………
………………
えっと。
(誰だっけ?)
「昼川さん!」
誰でもいいや。司会の人。
「あ……さ……かわ……だ」
あ。確か、そんな名前の人。
「だから……麻川……だ」
「先生、踏んでます。司会の人」
「麻……川……」
「あぁ、これ」
「麻川……です……」
「危ないですよ。そんな所で寝ていたら、踏まれてしまいますよ。麻山さん」
「もう……踏まれています……麻川です」
「違いますよ。夜川さんです。先生が踏んでるんですよ」
「本当だ。すみません、麻野さん」
「麻川です。早く……どいてください」
「おや、失敬」
ようやく、勧修寺先生が夕川さんの上から下りた。
……って。
「先生、足ィ~」
「どけましたよ」
「右足だけ。まだ左足が晩川さんの上です」
「麻……かっ」
「本当だ」
「グホォ!」
先生……
「床に転がってる邪魔な塵芥 を蹴りましたが、何か問題ありますか?」
「それ、午後川さんです」
「あさ……かわ……だ。ぐへ」
「ぐへ」の悲鳴は、この人だった。
「……って。なんで、また蹴るんですかっ」
「モブのくせに麻町さんが自分の名前連呼して、なんとなくムカついたから」
せっかく下ろした左足、また上に乗ってるし~
「あさ……かっ。グゴォ」
勧修寺先生、踏んでる。踏み踏みしてる。
「ねぇ、麻谷さんですよね?」
「あさ……たに……です……」
『麻谷』さんにしてしまったー★
(司会の人)
えっと……ほんとの名前、なんだっけ?
ぽん。
背後から俺の肩に手が置かれた。
真川さんの低音ヴォイスが降ってくる。
「『麻川』の名前は忘れろ……」
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