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ⅩⅠ《おまけ+》換気しよう!【前編】
『換気』
俺に課せられた使命は、この淀んだ空気を入れ換える事。
換気だ。
真川さんに動揺している場合じゃない。
通気口確保!
(今すぐ窓を)
ここは高層階だから安全のため窓が開かない。
では、どうすれば……
「空気清浄機!」
さっさと脱臭して、新鮮な空気へと浄化してもらおう。
(あった)
空気清浄機。
「痛っ」
空気清浄機に向かおうとした俺の手を、逆方向の力が引っ張った。
「ちょっと真川さん」
ぎゅっと結ばれている右手。
「そっちじゃないです」
「あの空気清浄機を付けるのが先だ」
……もう。どんなこだわりだ。
この人は〜
(仕方ないな)
先にあっちの空気清浄機を付けよう。
「痛っ」
また反対側の力に引っ張られた。なんだ、なんだ?
「明里君、こっちの空気清浄機を付けるのが先だろう」
「勧修寺先生!」
「先にこちらの空気清浄機を選んだのに、選択を覆すのは良くないな」
左手が勧修寺先生の立っている場所に引っ張られた。
右手を真川さん。
左手を勧修寺先生。
二人と手を繋いでるんだった。
「あ、はい。すみません……わっ!」
「あっちの空気清浄機が先だ」
「えっと、はい……わっ!」
「こっちにすると決めたろう」
「そうでした……わわっ!」
「違う。あっちを付けた方が換気の効率がいい」
「こっちだ。手近な所から換気すべきだ」
「はい……わっ!わわっ!」
さっきから、あっち行ったり。こっちへ来たり〜
二人の間を俺だけが行き来しているんだけど……
もしかして。
(真川さんと勧修寺先生)
張り合ってる?★
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