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ⅩⅠ《おまけ+》換気しよう!【中編】
「こっちだ、優斗」
「こっちですよ、明里君」
「そっちではない。こっちだ」
「どこへ行くつもりですか。こっちです」
あわわわっ、わっ!
「ちょっ、二人とも!」
俺の体が真川さんと勧修寺先生の間で行ったり来たりしている。
「空気清浄機のスイッチ、押せないじゃないですか」
「だから」
「ですから」
「「こっちを押してから、あっちを押したらいいだろう!」でしょう!」
息ピッタリ★
「わぁっ!」
だからっ。
「どうして、二人で逆方向行くんですか」
「「そっちの人に聞け!」聞きなさい!」
息ピッタリなのに、どうしてそこは揃わないんだ。
「一つもスイッチ押せてませんよ」
「迷惑な話だ」
「全くですよ」
「先生」
「真川さん」
「「さっさと優斗の」明里君の「手を」」
………
「「離してください!」なさい!」
~~~
「二人ともッ!」
フワァっ。
「優斗!」
「明里君!」
怒鳴ったせいで、大きく息を吸い込んでしまった。
右手も左手も真川さんと勧修寺先生に繋がれているから、鼻が押さえられない。大勢のα達のの事後の臭気で、意識が遠退きそうになった。
視界が床に近づいたが二人が俺を支えてくれたお蔭で、床との衝突は免れたけど。
「お願いです……どちらか、手を離してください」
「しかし。手を離して君が倒れてしまわないか心配だ」
「君一人で立っていられるとは到底思えません」
思ってください。俺が立ちくらみを起こしているのは、臭いを防げないからなんです。
先に手を離した方が本当のお母さんですよ~
「俺は君の恋人だ。この手を離さない」
「私は君の……※★@◎$~です。この手を離しません」
(ちょっと、勧修寺先生)
あなた、俺の何ですか?今、誤魔化しましたよね?
「「大切なものは手離しちゃいけないんだ!!」!!」
今は手離してー!!
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