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ⅩⅠ《おまけ+》換気できません!【中編】

 えっと…… (話が通じて、とりあえず良かった……んだよね?)  恥ずかしい言葉を臆面もなく使うαに敬意を評して、話を続けよう。 「それで真川さん。おっ、おなっ……に」 「オナニー」 「………」  しっかり正気を保て、俺。 「〜ですけど」 「オナニーがどうした?」 (〜〜♠)  やっぱり恥ずかしい言葉を、はっきりと言う……この人は〜  生殖能力を誇るのは、αの特性だ。 (俺とは価値観の基準か違う)  正気を保つんだ、俺。 「どうして否定しないんですか。したくないって」  否定しなければ肯定と取られる。Ωフェロモンの影響を受けているのを肯定したら、勧修寺先生の思うがままだ。  それはそのまま、αとして勧修寺先生が上位で真川さんが下位という構図が出来上がってしまう。  でも、真川さんは…… (あそこ)  膨らんでない。  真川さんがなにを考えているのか、分からない…… 「君は私が『したい』『したくない』のどちらだと思う?」 「真川さん、こんな時に」  なぞなぞなんて。  困る俺をよそに、真川さんはやめる気はない。 「『したくない』ですか」 「違うな」 「じゃあ『したい』」 「違う」  両方外れた。 「どういうことですか」  これじゃあ、答えがない。  うなる俺を尻目に真川さんは涼しい顔をしている。なんだかズルい。 「君の心配ごとは大体分かっている」  ハンカチで隠した口許がふと微笑んだ気がした。 「Ωフェロモンは許容範囲内だ。影響はない」 「じゃあ、なんで?」  真川さんは…… 「嘘をつくんですか」 「したくないと否定すれば、君が魅力のないΩになってしまう」  こつん 「そんな嘘はつきたくない」  手を繋いだまま、おでことおでこが当たった。  俺の背が低いから、俺は頭部に近いけど。 「君は魅力的なΩだ」 「なっ……」  そんなこと! 「言われた事ありません」  今まで誰にも。 「じゃあ、君の初めてになれて嬉しいよ」  αはやっぱり、臆面もなく恥ずかしい事を言う。  でも、たぶん……  こんなにも心臓がバクバクうるさいのは、真川さんが言うせいだ……

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