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ⅩⅠ《おまけ+》換気できません!【後編】
……なんて言ったらいいのだろう。
(こんな事言われたの、初めてで……)
答えが見つからない。
今まで読んだ本にも教科書にも書いてなくて、なにをどうしたらいいのか分からない。
「どうした?」
声にビクンッと心音が跳ねる。
「顔、真っ赤」
つん……
鼻と鼻の先っぽが触れた。
「大丈夫か?」
(大丈夫じゃない!)
大丈夫じゃなくしてるのは、あなたのせいだ。
自覚あるのか。
αって、どうしていつもいつも~!
オーラが違って、不遜で厚顔で、でも些細な機微に気がついて、でも肝心なところで全く気がつかない。
(デリカシーがない)
いつもあなたに振り回されっぱなしだ。
俺のこと、分かってくれない……
こんなにもドキドキしてるのに……
クスリ、と。
宵闇の瞳が微笑んだ気がした。
『分かった』
……そう瞳が応えたように感じたんだけど。
「その左手を優斗から離して頂きましょう」
声は勧修寺先生に向けられる。
「ようやく自分の欲望に正直になりましたか。しかし君がオナニーするのと、私が明里君から手を離すのは別問題。何ら関係ありませんよ、真川さん」
「大いに関係ありますよ」
(真川さん?)
「素晴らしい提案をしよう」
ゾクリ……
宵闇の相眸に浮かんだ妖艶な笑みに、心臓が震えた。
「あなたもオナニーしませんか、勧修寺先生」
ハァァァアアー!?
「優斗が手コキをしたいそうです」
(ちょ、ちょ、ちょー)
ちょっと待ってー!!
真川さんの暴走を止めなければ。
だが、あまりに予想外。突拍子もなく斜め上過ぎて、頭がついていかない。
パクパクパク
お口が金魚さんだ。
声が出ない。
(いつ俺がそんなこと言った?)
真川さんの勘違いが暴走している。
ドキドキしたのは、そんな妄想したからじゃない!
「我々の絡む姿を眺めて勧修寺先生はどうぞ、ひとり遊びなさってください」
ギャアアァァアアアーー♠️♠️♠️
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