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ⅩⅠ《おまけ+》換気、大事、絶対!【中編】
「手コキとはパートナーの性器を手で扱いて快感を与える行為だ」
「それ、さっき聞きました」
「右手と左手にそれぞれ、私達の性器を持って手コキを行うんだ」
「そんなこと聞いてません」
「君の両手は大忙しだ」
「やりません!」
「興奮するね!」
興奮しているのは勧修寺先生、あなただけ。
「興奮するぞ」
ここにももう一人、興奮しているαがいたー!
「真川さんっ」
あなたまで。
「なにか?」
「しまった」
この人は元々、俺に手コキをやらせたい側だったー★
イーグルアイが不敵にきらめく。
「真川さん」
「勧修寺先生」
「君は……」
「あなたは……」
「「どちらがいい?」?」
俺を挟んで何の密談?
いや、俺に聞こえている時点で密談ではない。
「無論、右手だ」
「なぜです?」
「右手に嫉妬してるんですよ。毎晩、優斗自身と仲良くして」
「ナァァァーッ!」
真川さんっ!それって!
「俺が毎日ッ」
お、お、おおっ……
おなっ
………にっ
「してるみた……」
「優斗、いま大事な話をしているんだ」
誤解を解くよりも大事な話はない。
これは真川さんの流した誤報だ。
(政治ジャーナリストのくせに)
「ジャーナリストは真実を報道してください」
「毎日だろう」
「ちがーう!」
「毎日朝晩か」
がーん。
……悪化した。
(俺、真川さんにそんな風に思われてるんだ……)
「明里君」
「勧修寺先生!」
先生が助け舟を出してくれる。やっぱりいざという時、頼りになるのは先生だ。
「君が淫乱なのは周知の事実だ」
…………………………へ。
「いま大事な話をしている。静かにしていてくれ」
勧修寺先生が話の根底をへし折ったー★!!
「俺はッ!い……い、いいぃ〜」
いんらん……
「じゃ……」
「優斗、淫乱は恥ずかしくない」
「ナァっ」
「性欲が強いのは優斗の個性だ」
慰められても全然嬉しくない。
(お願いだから、せめてっ)
毎日朝晩は撤回してください……
「奇遇だな。私は左手を所望する」
「おや、先生は左手派ですか」
「利き手でない拙い手付きで焦らしながらしてもらいたいね」
「マニアックですね」
「君ほどでもないさ」
パンッ
高らかに冴えた音が響いた。
鼻を押さえる手を下げて、真川さんと勧修寺先生がハイタッチする。
貴重な光景だ。
けれど……
音がいささか大きすぎないか?
あんな大きな音響かせたら、きっと二人の手が痛い筈。
「真川さん……」
「勧修寺先生……」
ギラン
二人の双眼が光った。
「あなたにはやはり、身を引いて頂きましょう」
「奇遇ですね。私も先生には身を引いて頂きたいと考えていました」
バチバチバチッ
視線が火花を散らす。
「勧修寺先生」
「真川さん」
あなたがいては……
「「手コキしながらオナニーする優斗が」明里君が」
「「見られない!!」!!」
バチバチバチッ
「あなた達はなに考えてるんだァァァーッ♠!!」
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