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ⅩⅡ思い出せないけれど、好き⑦
キスだけで落ちてしまう。
ドクンドクン、心臓が鳴る。
後ろに当てられた熱い雄。
ビュクビュクして後ろ穴が震えてしまう。
「ほら、こっち」
体を持ち抱えられて、ますます密着した。
「嫌いじゃないだろ」
煽られていると分かっているのに、頷いている。
「素直だな。……俺も嫌いじゃない」
チュッ
鼓膜にダイレクトに響く。唇が音を立てて耳を吸った。
「俺っ」
「ん?」
「菫の雄の人……」
「なに?」
この人の声。
聞いているだけで、ドキドキする。
ゾワゾワ、サラサラ、心の中をかき乱す
(だから声、聞きたかっただけ)
「なんでもない」
「言わないと、もう気持ちいいことしてやらないぞ」
「そんなのっ」
意地悪。
ほんとに俺、声を聞きたかっただけなのに。
「じゃあ、俺から質問。俺と仮面の雄の人と、どっちがお前の乳首を舐めるの上手?」
「どっちも」
「どっちもはダメだ」
「もちろん、私ですよね?明里君」
「ひゃうっ」
胸の尖りをつんって弾かれた。
「おや。今ので先走り漏らしちゃいましたか?」
慌てて首を横に振った。
「ムキになるところがあやしいな」
「えぇ、とっても♪」
「ほんとに……」
「漏らしてない?」
こくこくと首を振る。
「じゃあ、君は乳首を触られる前からカウパーを垂らしている淫乱だな」
「ちがっ」
「直に分かるよ」
チュッ……
甘い唇が耳たぶを食んだ。
「さっきの質問に答えてください」
仮面の雄の人の舌も首筋を這った。
「上手く乳首を舐めて、君をたくさん気持ちよくできた方が、ちんこを頂く」
「ちんこは一本しかありませんからね」
はふん!
緊張じゃない。
興奮で思わず、ぎゅっと股を締めてしまう。
「素直な君は……」
「可愛いな」
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