198 / 217

ⅩⅡ思い出せないけれど、好き⑨

 濡れた右手の人差し指を、赤い舌がペロリと舐めた。 「どうしましたか?足、もじもじして」 「だってぇ〜」  仮面の下の秀麗な顔が覗き込む。 「脚の間に何かあるのかな」 「ない〜……アフフぅ」 「君は嘘つきですね。熱く反り返ったものがありますよ。硬いですね。……おや、ここには垂れ下がった柔らかい袋がある。なにかな?」 「ウフー!そこっ」 「ここ。垂れ下がってるこれですね。コリコリしますね」 「アヒィ」  くすぐったくて、もどかしくて、気持ちいい。  でも、もっと気持ちいいところがある。  そっちを触ってほしいのに、全然こすってくれない。 「コリコリ、コリコリ」 「ヒンフ」  気持ちいいけど、そこじゃない。 「アフフ、アフ」  そこじゃなくって、勃ってる棒こすって。  伝えたいのに、息が上手くできない。言葉が紡げない。  仮面の下の蜂蜜色の瞳が、優しく見つめ返すばかりだ。 「どうしましたか?腰、そんなにくねらしたらコリコリが上手くできませんよ」 「やぁんっ」 「優斗、おとなしくしないとダメだろう」  後ろから、大きな手が髪を撫でた。 「いい子だ。俺の上に乗って」 (菫の雄の人……)  膝の上に抱っこされて、後ろから覆い被さる。  ……チュッ  濡れた唇が首筋を伝った。  髪がサラサラ、鎖骨に触れてくすぐったい。 「菫の雄の人……」 「なんだ?」 「触って」 「もう触ってるよ」  大きな手がお腹を撫でた。 「優斗の子宮、どこ?」  指が腹をつぅっと這う。 「俺が中から撫でてやってもいい」 (それって★)  きゅんっとアソコがヒクついた。 「お利口な優斗には、この意味分かるな?」

ともだちにシェアしよう!