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ⅩⅡ思い出せないけれど、好き19

 程よく筋肉のついた体…… (αの雄さんって、みんなこんなきれいな体してるの?)  伸ばした手。  触りたいと思った。  でも触れるのがもったいない。  そんな気持ちが、ふと湧き起こる。  触るのと、触らないのと、どっちが正しいんだろう。 「どうして手を止めた?」 「ごめんなさい」 「謝る事じゃないだろ。聞いただけだ」  雄さんが怒ってるんじゃないのが分かって、ゆっくり口を開いた。 「俺にはもったいないから」 「おかしな事を言う。俺は……」  伸ばしかけて下ろした手を取られる。 「君のものだ」  トクン  心臓が鳴った。  トクン  手の下で心臓が鳴っている。  少し汗ばんだ肌の下で、鼓動がトクトク心音を奏でている。 (少し速くなった?) 「君に触れられると緊張する」 (雄のαさんが、俺に?)  αさんなのに…… 「嬉しい」  小さな呟きが零れた。  ずっと願ってた。  そんな気がする。遠い遠い夢の中で。  長い長い夢を見ていたのかなぁ。 「俺は、あなたと?」 「君が好きだ」  唇が自然と重なった。  心があったかくて、満たされて……なんだろう?この気持ち。 (交尾したいだけなのに)  交尾じゃ満たされない、何か……  心の中、いっぱい満たされていく。 「だーめ」  不意に耳のひだを熱い息が這った。 「私も仲間に入れてくれないと、拗ねますよ」 「はふー」  微妙な角度で歯を当てられて、息と唾液を押し込められて。クチャクチャ、卑猥な水音に甘い声が漏れてしまう。 「仮面の雄さん!」 「君が彼と口づけするなら、私は君自身と口づけしましょうか」  それって……  こんもり膨れ上がったお股の★!! 「理解できたら、少し体をひねりましょうか。こちらを向いて」

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