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第5話 魔法の契約

「待って!それはその……なんで!?」 流石に僕も抗議した。もうロクデナシの言うことは仕方がないと割り切るつもりでいたけれど、これは違う。ロクデナシは顔が真っ赤になってしまった僕の頭を撫でながら、説明に入る。 「まあ聞け、別に致せなんて一言も言ってないだろう。ただ一晩寝てくれればいい」 「い、致せ?????」 忙しい表情筋の割に頭の中が真っ白なような、真っ赤なようなそうな朦朧とした感じだ。説明を聞き取るのも一苦労だったけど、なんとかと聞き取れた。 僕の魔法の力を開花させるためには、兄ちゃんとの距離を縮めないといけないらしい。一緒に寝たり、お風呂に入ったり、手を繋いだり。つまりはあれだね、恋人っぽいことをしないといけない。だから、その契約としてその……致す事なくただ寝てくれればいいと言ったそうだ。 ロクデナシは大体こんな事を言っていた。 「中学一年生にもなって恥ずかしいよ……」 「そういうな、歳を重ねるともっと恥ずかしくなるぞ。それに、オレは邪魔をしないからな、オマエの部屋で夜更かししながら楽しく過ごさせてもらう。ベットの上でお菓子も食べてやる」 「このロクデナシ!」 僕にはもう退路が無かった。

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