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第6話 僕の兄ちゃん

ああなんてこった。あの後ロクデナシに部屋を追い出され(僕の部屋なのに)、リビングで兄ちゃんの作ったオムライスを食べている。 兄ちゃんのオムライスは世界一だ。具沢山のチキンライスの上に乗ったふわふわオムレツの真ん中をナイフで切ると、トロリと半熟の卵がチキンライスをおおう。手作りのしつこくないデミグラスソースと合わせたら、高級洋食店にも引けを取らない。寧ろあらゆる面で勝っている、具体的には卵の半熟具合とデミグラスソースの風味とコク、そして黄金比のチキンライスだ。 まるで料理アニメのように説明した手前こんなこと言うのはあれだが、言いたい。今の僕は魔法少女のことで頭がいっぱいで味わって食べる暇なんてなかった。どう切り出そうか、突然一緒に寝て欲しいなんてどう考えても妙だよな。何か良い口実は無いだろうか…… 「奏、今日のオムライスはイマイチだったか?」 突然兄ちゃんが不安そうに尋ねてきた。いつもはオムライスを世界一幸せそうに食べてくれるから、調子の悪い僕を心配したらしい。勿論だよ、僕だって兄ちゃんのオムライスを心の底から食べたいよ。 「そんな事ないよ、兄ちゃんのオムライスは世界一美味しいもん。今日はちょっと色々あって……」 こんな事で兄ちゃんの気分を損ねたくない。今はオムライスを食べることに集中しようとした。でも、 「良かったら今日は一緒に風呂に入るか?」 なんて言われたらそんな平常心を保てるわけないんだよ。 「はっはい!喜んで!」 声がひっくり返ってしまった。

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