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第5話

朱雀side 朔弥からの電話が切れた後、俺は空き教室の窓際に持たれて足を放り投げ、ぐったりした。 俺の幼少時代からずっと執事として同じ子供とは思えないほどしっかりして大人びた話し方、感情のこもらない瞳。 椅子に座り本をじっと読む姿は綺麗な人形の様で俺は朔弥が何処かへ行ってしまわないか心配だった。 アルビノで太陽の光が苦手で野外の買い出しなどは免除されて日中屋敷で活動してる日もある位。 中学に上がった頃だった。その自分の中で朔弥に対するもやもやした気持ちに気がついたのは。当時高校生の朔弥は通学時間がかかるのと委員会の仕事もあって1週間ほど顔を合わせない日が続いた。 気がついたら朔弥がいつも座って勉強して居る書庫の机の前で彼の気だるそうにシャープペンシルを動かす姿を思い浮かべていた。 俺に気がつくといつも「朱雀様はいつもそうやって私をご覧になっていますが、私のどこを見ていて楽しいのですか?お顔がニヤけてます」そう言って俺の頰を指先で突く。 そういった小さなやり取りが嬉しくてしかたない。 朔弥が居るだけで俺は満たされているのに気がついた。これは屋敷の使用人達とは違う思いを抱いていたんだと。 これは愛情。 俺は朔弥の事を愛しているんだと。 朔弥はオメガで俺はアルファ。 だけど運命の人では無い。 昔父さんから聞いた事がある。じーさんの製薬会社の100周年記念パーティーで初めて参加した母さんの姿を見た瞬間、父さんは母さんの手を握って外に連れ出した。 父さんはすぐにこの人こそ自分の番いだって直感したらしい。母さんも同じだったらしく、素直に父さんの部屋に連れて行かれてって押し倒されたらしい。 父さんが! 普通そのポジションは母さんだろ!と言ったら父さんは母さんが発情しても手を出すつもりは無かった。けど母さんのテクに溺れて関係を結んで、お互いが社会人になったら結婚だと約束して現在にいたると。 流されすぎ、父さん! 今や国内大手の製薬会社を束ねる人には見えないありさま。 まぁ話しは戻って俺と朔弥だ。 今まで一度もそんな雰囲気になった事が無い。 だから朔弥にも俺にも他に運命の番いが居ると言う事になる。 しかし無理矢理朔弥の首すじに噛み付いて番いにさせる事も可能。でも自分の思いを無理矢理成就させるなんてできない。 俺には朔弥が居ないと生きていけ無い。嫌われたく無い。これだけは断言できる。 もどかしい、愛しい人が目の前に居るのに何もでき無い。たまにこの思いに押し潰されて朔弥を襲ってしまいそうになる。 だから俺は。 「朔弥朔弥朔弥朔弥朔弥朔やぁ!」 俺自身を慰める様に触れて透明の蜜があふれ出て陰湿な音を立てていた。 頭の中は裸体の朔弥が俺のをくわえて一生懸命舌を絡めさせる。そういった妄想が頭から離れない。 くちゅくちゅと大きく音が教室に響いて今本当に朔弥が居たら無理矢理犯しそうだ。 「ぐつっ」 ようやくイった後、俺はどうして朔弥が運命の人では無いのかと悔やんだ。 もう何回も、何十回もそう思った。 もし朔弥が運命の人だったら押しに弱い朔弥を容赦なくそういった雰囲気に持ち込んで首筋に噛み付いて俺の人だと見せつけたい。 「どうして朔弥は俺を選んでくれない?朔弥は本当の両親に虐待されてたから感情が欠けているからなのか?」 心が痛い、俺を満たしてくれるのは彼だけ。 しかし彼は俺に対して主従関係としか思っていない。 「人を好きになるってこんなにも辛いんだ」 朔弥にもし運命の人が現れたら俺は確実にその人から朔弥を奪い取る。 運命なんて知るか。俺は朔弥じゃないと嫌なんだ。

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