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第7話
バイクでさっそうとかけてゆく。
夜は好きと言えば好きです。
唯一の趣味と言うぼけーと夜空を見上げ星を見る。
冬の星座をあれこれ探したり流れ星を見かけると明日もまだこの平和な日々が続いて行くと思うと安心する。
朱雀様を後ろに乗せて屋敷まであと半分かな。
寒いので朱雀様の好きなミルクたっぷりのココアを入れて差し上げないと。
ちなみに私も一緒に何か飲まないと朱雀様ってば拗ねてしまいます。対面してテーブルの前にマグカップを持って行けばムッとした顔でソファーの横を手でポンポンと叩く。
隣に座れと言う意味です。
小さい頃からずっと冬の寒い日にはそうやって私を隣に置いて少しだけ寄りかかる。
それを分かっていて毎回、朱雀様が合図を出さない限り決して隣に座る事は無い。
主人と使用人ですから。
それにしても、
「朱雀様、もっと私の腰を強く抱えて下さらないと落ちそうで怖いです」
もちろん赤信号の時に声をかけました。
「こっ、こうか?」
先ほどよりは強くなったけれども急なカーブでは振り落ちそうです。
遠慮なく掴まって欲しいので朱雀様の腕を掴んで無理矢理ベストポジションに持ってきた。
「おわっ」
ん〜私と体を密着させるのが嫌なのでしょうか?
不機嫌そうな声がして少しばかり残念です。
その後なんだかんだ言って大人しくしがみつく朱雀様。何だかんだ胸の鼓動が早くなりました。寒さに震えているのでしょうか?
「朱雀様後半分の距離で屋敷に着きます。寒くて心臓の鼓動が速いのですが大丈夫ですか?」
「俺そんな風になってたか!嫌、違うんだ朔弥えっとそうじゃ無くてー。あ〜何て言ったら良いんだ!朔弥が嫌いでさっきも強くだっだ抱きしめて無いんじゃ無くて。そっそう寒いから力が出ないし鼓動も速いんだ」
「そうですか、別に私が嫌いでそうしているのかと思いまして杞憂でした」
安心しました。朱雀様に言っては叱られてしまいますが彼の事を弟みたいに思っていたので嫌われていたら嫌です。あれ?でも朱雀様も思春期真っ只中。オメガである私を嫌ったりとかしてしまうのかと思ってましたが、そうでは無いのですね。
「いつか、この気持ちを、どう、伝えたら、良いのか」
安全運転に徹していた私は朱雀様のそんな小さな呟きは聞こえませんでした。
結局は屋敷で朱雀様にソファーをポンポンとされ仕方なく隣に座って、二人で静かに温かいココアをほっこり飲んでいました。
いつもだけど、もたれかかって来る朱雀様に対して自然すぎて、不思議とこの無言状態は嫌いでは無かった。
むしろ居心地が良いと思ってしまうのは私がおかしいのでしょうか?
ゆっくりと天井のシャンデリアを見上げても答えは出てこない。
隣からは小さな寝息が聞こえてくるばかりだった。
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