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 唾液の音が、ソファの上で鳴る。  松葉瀬が腰を引くと、矢車は切なそうに唇を窄めた。  逆に腰を落とすと、待ってましたと言わんばかりに舌で奉仕をする。  松葉瀬は、口淫を受けることが嫌いじゃない。  それと同様――もしくはそれ以上に、矢車もまんざらではないのだ。 「さすがビッチだな。どっかで練習でもしてんのか? 初めの頃よりマシになってるじゃねェか」 「ん、ん……っ」 「それはどういう意味の首振りだ? 否定か、謙遜か?」 「んぐ、っ!」  松葉瀬の問いに対し、矢車は首を横に振って返答する。  声を出せない矢車の状況をいいことに、松葉瀬はわざと、喉の奥目掛けて逸物を突っ込んだ。  当然、矢車は苦しそうに呻く。  だがそんなことすらも、松葉瀬にとってはどうでもいいことなのだ。 「ハハッ、喉奥……すげェ締まった」 「んく、んっ! ふっ、ぅむ……っ!」 「何だよ、その目は。テメェはこうやって……上顎を擦られたら感じるんだろォが」 「ん、ふぁ……っ! んんぅ……っ!」  わざと角度を変えて、矢車の口腔を蹂躙する。 「何だよ、その目。……テメェは【目上の人間を敬う】って思想を、母親の腹ン中にでも置いてきたのか? あァ?」 「んぐっ、ん……んんっ!」 「もっとちゃんと舌使えよ、ド低能クソビッチ。仕事の邪魔したのはテメェだろォが。被害者面してねェで、しっかり罪滅ぼししろ」 「ふっ、ぐ……ん、っ!」  矢車の、中性的で端整な顔が。  苦し気に、歪められる。  それでも矢車は決して歯を立てないし、松葉瀬に言われた通り、舌を動かす。  普段は松葉瀬に対して非情な態度をとるが、セックスの時だけは割と従順。  そんな矢車を虐めるのは、松葉瀬にとって愉快でしかなかった。 「まぁ、及第点だな。……けどよ、淫乱後輩。そんなやり方じゃ、俺はいつまで経ってもイケねェんだけど?」 「んんぅ、ん……っ」 「喉奥使えって言ってんだよ。休んでんじゃねェ」  頭を押さえつけ、無理矢理腰を動かす。  すると、矢車の瞳に生理的な涙が滲んだ。  それでも決して、松葉瀬の胸は痛まなかった。  ジュブジュブと、唾液が肉棒と擦れる音。  音が激しくなればなるほど、松葉瀬は愉快気に口角を上げる。 「あぁ、悪くねェな。……オラ、どこに出されてェんだ? それ相応の態度で示してみろっての」 「ふっ、んぐぅ、っ!」 「一滴たりとも吐き出すんじゃねェぞ、クソガキ」  松葉瀬の言葉に、矢車は【それ相応の態度】を示した。  唇を窄め、わざと音が鳴るように逸物を吸う。  そこまでしてようやく、松葉瀬は満足感を返した。 「んぐっ、んんっ、んぅっ!」  矢車の喉奥に、突き刺す勢いで腰を打ちつける。  そのまま松葉瀬は、遠慮容赦なく精をぶちまけた。  矢車は苦し気に喘ぐも、唇を離そうとはしない。  ……そもそも、松葉瀬に頭を押さえつけられているので離れられないのだが。 「んぶっ、ぅ……く、っ」  注がれる精液を、矢車は懸命に飲み込む。  矢車の様子を見て、松葉瀬は鼻で笑った。 「ハッ。俺の舐めただけでイッてんじゃねェよ、ビッチが」  腰を引き、矢車の口から逸物を引き抜く。  その際、松葉瀬は視線を下に向ける。  視線の先……露わになった矢車の下半身は、白く汚れていた。 「あ、ふぁ……っ」 「終わり……とか思ってねェだろォな、メスガキ」 「は、ぁ……ま、さか」  瞳を潤ませたまま、矢車は自身にのしかかっている松葉瀬を見上げる。 「むしろ……もう満足したんですかぁ? セェンパイっ」  口が自由になれば、いつもと変わらず言いたい放題。  そんな矢車を屈服させるのも、松葉瀬は嫌いではなかった。

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