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一糸纏わぬ姿になった矢車が、シーツを握る。
「セン、パイ……っ! 深い、ですぅ……っ!」
「あぁ、そうだな。大喜びしてんなァ?」
「うっ、うぅ……クズですぅ……っ!」
うつ伏せのまま、矢車は後孔で松葉瀬の逸物を受け止めた。
松葉瀬とセックスをするのは、矢車にとって初めてじゃない。
それなのに矢車は、いつも以上に感じて仕方がなかった。
「はっ、あ……っ。……今、軽く、イっちゃいました……っ」
「ケツの具合で分かるっつの。この、ヘンタイ」
「んん、っ!」
先端で、矢車の好きな部分を押し潰すように擦る。
そうすると、矢車は甘い声を漏らした。
「センパイ、気持ちい……あ、っ! 奥、もっと、シてぇ……っ!」
「お前、マジで淫乱だよな。普通、男に掘られてここまで善がるか?」
「ボクのこと、こんな体にしたのは……センパイ、なのにぃ……んっ!」
腰を抱えて、より深い抽挿ができるよう、持ち上げる。
矢車は背を反らせながら、悦楽に浸った声を漏らした。
「あ、んぅ……っ! センパイの愚息、気持ちいい……っ!」
「貶してェのか褒めてェのか、どっちかにしろや。……素直じゃねェな」
「あっ、それぇ……っ! んっ、いい……っ!」
小刻みに体を揺すると、矢車が断続的な声を漏らす。
その様子が面白いのか、松葉瀬は口角を上げた。
「オイ、クソヘンタイ。……こうやって、小刻みに体を揺するのと」
「んっ、あ、ぁあ……っ!」
「それとも、思い切り引き抜いて……」
「あ……っ! ぬ、抜いちゃ……やだぁ……っ」
ずるりと、逸物が引き抜かれ……矢車は寂し気な声を漏らす。
しかし、全ては引き抜かず。
松葉瀬は不意に、腰を落とした。
「――ぁあっ!」
「一気に、押し込むのと……奥まで突っ込んだまま、グチャグチャに掻き回されるのなら。……テメェは、どれが一番イいんだよ」
「ふあっ、あっ! だめ、激し……あっ、ぁあ、あっ!」
大きく喘いだ後、矢車が脱力する。
後孔の締めつけ具合だけでも、松葉瀬は【矢車が達した】ということに気付いた。
「ふ、あ……っ。だめ、センパイ……一回、待ってぇ……っ」
「駄目じゃねェだろ。甘ったるい匂い垂れ流して、俺を誘ったのはお前だ」
「そ、れは……っ。……センパイ、っ」
後ろを振り返り、矢車は松葉瀬を熱く見つめる。
そのまま矢車は、自分のうなじにかかる後ろ髪を、指で払った。
「お願い、センパイ……っ」
「……ッ」
「ココ……思い切り、咬んで、ください……っ」
人差し指で、矢車は自分のうなじを指す。
キスをした後、松葉瀬と矢車はそのまま……性行為を始めた。
――だが……松葉瀬はまだ、矢車のうなじを咬んでいない。
「もう、ガマンできない……早く、咬んで……? ボクを、センパイだけのモノにしてください……っ」
絶頂後の余韻なのか、それとも不安からなのか。
松葉瀬を振り返る矢車の瞳は、酷く、潤んでいた。
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