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「じゃじゃーん!見てよ!これ!」 俺たちしかいない屋上に響き渡る真尋の声。 自慢げに見せびらかしているのは一枚の紙だった。 真ん中に黒の太文字で何か書いてある。 「部活動申請の結果…?」 「そう!なんとオカルト研究部は部活動としての活動が決まりました〜!」 「おお〜〜!」 紙をくしゃりと抱きしめる。 いいのかそれ。絶対大切なやつだろ。 「結局誰が入ったの?」 「いやね、なかなか大変でしたよ。 この前言ったクラスの奴と、あとは1年かな!伊澄も入ってくれたら1番良かったんだけどね!」 「誘ってくれるのは嬉しいんだけどね〜。 そうかぁ。これから忙しくなりそう?」 「とりあえず活動は今週から。でも部活って言っても俺のやりたい事とか、特番の話をする為だけに作った部だから、多分全然忙しくないよ。」 「もうそれ部じゃなくてクラブ活動とかでよくない?」 「実験用の部室が欲しかったんだよ〜!ま、伊澄は部員じゃないけど遊びに来てもらっていいからね!」 「気が向いたらね。」 ところでさ、昨日の金縛のことなんだけど…。と遠慮がちに尋ねてくる。 「ああ、そうだった。」 あの後、様子が違うことを察してくれたのか真尋は深く聞いてこなくて、俺も詳しく話さなかった。 でも、一晩冷静に考えてみたけど、やっぱり金縛ってオカルト系じゃないと思うんだよなぁ。途中で目が覚めた訳だし、黒い影の正体は分からないけど、どうせ夢だろ。 昨日感じた恐怖はすっかり忘れて、起こったことを真尋に話す。 「え、じゃあ黒い影が見えたの?」 「影っていうかモヤっていうか…なんかそんな感じの。」 「…、やっぱそうなんだ。」 影について、何か知っているような口ぶりで話す真尋に視線を向ける。 「なんかね、焦りや恐怖心から、ありもしないものが見えることがあるんだって。伊澄が見た黒い影はそーゆーのじゃないかな、って思って。」 確かに。金縛になった時、焦った。 それでもなんだか釈然としなくて、そうかぁ。くらいの返事しか出てこない。 「でもいいなぁ!俺も一回金縛体験してみたいなあ!」 [金縛レポ]と見出しが書かれたノートに、俺が話した内容をスラスラと書き続ける。授業用ノートかと思うくらいびっしりと書かれていて、ところどころ付箋が飛び出している。 こいつ、授業もこれくらい真面目に受ければいいのに…。 「他は?何か思い出したことない?」 「うーん。特に無い、かな。」 ぐー、と伸びをして背後のフェンスにもたれかかる。 昨日の夜、また金縛になるんじゃないかと意識しすぎて、なかなか寝付けなかったから眠い。 重量に任せて瞼を閉じると、視界全体が赤に染まる。 そういえばなんで、外で目を閉じると瞼が赤くなるんだろ。なんて真尋がいいそうな事を考えながら、目元に手のひらを当てて視界を暗くした。

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