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結局今日も一緒に帰れなくて、一人駅までの道のりを歩く。
真尋のやつ、大丈夫かな。
昼の時もそうだったけど、食べ終わった後も今にも眠ってしまいそうなほどへろへろになっていた。
自分で作った部活といえど、そこまで頑張らなくてもいいんじゃないかと伝えたが、あいつのことだからどうせ聞いてない。
少しは俺の心配も汲み取って欲しいもんだ。
なんて考えていたらあっという間に駅に着いた。
学校の最寄り駅はなかなか大きくて、コンビニやスーパー、居酒屋などが建ち並ぶ。
買い物に来た主婦や仕事帰りの人が行き交う中、いつもは特に気に留めない本屋が目に入る。
何となく店に入ると、奥の方から小さく「いらっしゃいませ。」と挨拶が聞こえた。
こじんまりとした、いかにも地元の本屋って感じの広さだが、本の品揃えはまあまあ良い。
奥の方へ進むとマニアックな本がずらりと並んでいる。
びっちりと並べられた棚をしばらくを見ていると、『偉人の死に方』と背表紙に書かれた本が目に入った。
こーゆーの、好きそうだなぁ。
その隣には人体実験の本が置かれていて、その二冊をレジに持って行った。
これでも読んで、前の調子を取り戻してくれれば良いけど。そんな期待を胸に、本屋を後にした。
「ねえ、今日は中庭でご飯食べよ。」
そう言って来た真尋は、昨日とは見違えるくらい顔色が良くなっていた。
「おう。今日めちゃめちゃ顔色いいじゃん。ちゃんと寝たんだな。」
「まあね!さすがにぶっ倒れそうでさ。爆睡だよ。」
「良かった。昨日のお前、だいぶやばかったからなぁ。」
中庭のベンチに移動して、持ってきた弁当を広げる。
いつもは弁当片手に大量の資料を読み込んでいる真尋だが、今日は持ってきてないらしい。
「ちょっとさ、話したいことがあるんだけど…」
箸を止めて俯いたまま、真尋がぽつりと呟いた。
「なに?」
「なんていうか。多分変なやつだって思われると思うんだけど。」
「うん。」
「俺、死ぬのが怖い…。」
「死ぬ?んなもんもっと先の事じゃねぇか。」
「そう、なんだけど。」
「急にどうしたの。疲れたのか?そんなに気に病んでることがあるなら、聞くから。早まるなよ。」
「…うん。……あのさ、生きている限り、俺 たち は 絶 対に………ん だ。そ れっ………て……さ 、……………」
急にノイズがかかったみたいに聞こえなくなる。
聞きなおそうとして口を開くと、上手く息が吸えなくて出かけた言葉が詰まる。
なんだ、これ。
身体が、指先から硬直していく。
横に座っていたはずの真尋が、いつのまにか俺の目の前に立っていて、腕を前に伸ばす。
真尋のしようとしていることが分かって、俺の首を掴む手首を思いっきり押した。
必死に抵抗するも、首を掴む力はさらに強くなり、俺の身体は金縛にあった時のように、固く動かなくなっていった。
先ほどまで聞こえていた談笑する女子の声、校庭で遊ぶ男子の声が遠ざかっていく。
これ以上は、本当にやばいって……。
白く霞んでいく視界が徐々に暗くなっていった。
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