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二人寄り添ってside 透

 佐伯さんとアオの家で夕飯までご馳走になって、僕たちが二人の棲家へと辿り着いたのは深夜だった。 「相変わらずアオは料理が上手だよなぁ。」 「透も充分上手いと思うけどな。」 リビングのソファで寄り添いながら、止めど無い話を隆文さんとする。 「アオは、すごいよね。あんなにつらい事があったのに、もうちゃんと前を向いている。」 隆文さんが淹れてくれた甘くないコーヒーをちびちびと飲みながら、ぽつりと言葉が漏れた。 「....透?」 「僕はさ、自分が親になる自信はないよ。」 マグカップを包み込んだ両手に力が入る。すると、隆文さんがそっと抱きしめてくれた。それから、優しく背中を摩ってもらう。じんわりと彼の体温が僕の中に入り込んでくるようだった。 「いいよ。無理に親になろうとしなくていい。」 「でも、隆文さんは子ども、欲しくないの?」  じわっと涙が滲んで、目の前が霞む。耐えきれなくて零れた雫を優しい指先が拭ってくれた。 「莫迦だなぁ、俺はおまえが傍にいれば、他はなんだっていいんだよ。」 鮮明になった視界の先で、柔らかく微笑む愛しい人がいた。 ーーー  それからは、何だかお互いに離れ難くてずっとくっついていた。触れ合うだけのキスをしたり、意味もなく抱きしめあったりしていた。「風呂にでも入るか。」となった時には、既に夜中の一時をまわった頃であった。 「透、万歳して。」 「ん。」  僕は脱衣所で衣服をどんどん隆文さんに剥かれていった。なんだか子どもみたいで少し恥ずかしい。そんな事を思っていたら、あっという間に生まれたままの姿になっていた。慌てて隆文さんのシャツに手をかける。でも、いつものように上手くいかなくて指先が絡れてしまう。頭上からクスッと笑い声が聞こえた。 「ゆっくりでいいから、脱がして。」 甘いバリトンに囁かれて、初めてでもないのにドキドキしてしまう。そして、いつもより時間をかけて、ようやく彼の素肌を見つけた。  ほっとしたのも束の間、すぐに唇を奪われた。さっきまでしていたキスと違って、それは深く情熱的で性感を煽るものだった。大きな舌が僕の舌を絡めとり裏筋をなぞっていく。それにつられて、緩やかな快感が昇ってきた。拙いけれど、自分も応えるように彼の舌先をチュっと吸った。そしたら、お返しのように下唇を甘噛みされた。 「んっ、あっ....!」 キスに夢中になっていると、突然隆文さんの手が僕の内腿を撫であげた。もどかしい刺激が何度も繰り返され、僕の弱いところを擽る。やがてその手は蕾の縁をくるりと撫でたり、緩く立ち上がった僕の茎の先端を指の腹で擦ったりと悪戯を仕掛け始めてきた。 「ぁ、いやぁ、たかふみ、さん....」 「何が嫌なの?」 もうその顔は悪戯っ子そのものだ。 「ん、い、いじわる...!」 せめてもの反抗心で、彼の淡い突起にかぷっと噛み付いて吸ってみる。 「あははっ。俺はまだ、そこでは感じないかな。」 「ふ、え?......あぁっ!!」 きゅっと僕の乳首が摘まれて、そのまま優しく先端を弾かれた。 微弱な快感はもどかしいだけなのに、僕のものはすっかり勃ち上がってしまっていた。  そのまま縺れるようにバスルームへと移動して、熱いシャワーが降り注ぐ中、僕たちはお互いの身体を一つひとつ丁寧に確かめるみたいに、じっくりと愛撫した。 悔しいけれど、先に根を上げたのは僕だった。 「隆文さん、も、ほしい....」 「後ろ、向けるか?」 「....うん」 「壁に手をついて」 バスルームに常備されたローションを纏った指が、つぷりと僕の中に入ってくる。 「はぁ、あっ.....」 隆文さんの指の動きに合わせて、中が収縮してしまう。まるで、もっと、と欲しがっているみたいで身体が熱くなる。指を三本含む事ができるようになった時には、彼の大きなもので奥まで埋めて欲しくて堪らない気持ちでいっぱいになっていた。 「お、ねがい、まえ、前から抱いて.....顔、見えないの、いやだぁ.....」 思わず子どものように愚図ってしまう。そんな僕を落ち着かせるためなのか、背後からきゅっと手を握られた。 「うん、俺も透の顔が見たい。」  けれどもそれは、了承の意味だった。 くるりと反転されて、壁に背中がぴったりとくっ付いた。そして、ずっと欲しかった熱が一気に奥まで挿し込まれる。  自分のものとは思えない、甘い嬌声がバスルームに反響した。

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