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第2話 - ①
お誘いは突然
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「佐和、今週の金曜空けとけ」
お誘いは突然
俺の返事を待たずにいなくなる鬼の襲来に、周りの同僚たちから憐れみの目が向けられたのは
確か週の真ん中の水曜日だった
そして
「上司の酒が飲めねぇのか佐和?
ぁあ?テメェいい度胸してんな?」
「荒木課長、飲み過ぎですよ。少しペース落とした方が…」
「うるせー、つーか佐和。この間の礼で今日は俺のおごりってんだ。一宿一飯の恩義、遠慮しねぇで食え!飲め!」
とは、言われても……
あんた、どこぞの組のモンですか?
課長の飲みっぷりに付き合えば、両方潰れる事なんて目に見えて分かる
しかもこの間の事もあって、こちらは課長からのお誘いに心臓バクバクで
しかも2人っきり
明日、明後日は土日で仕事は休みと来たもんだから、課長の酒のペース早いし、進む進む
(こっちの身にもなれって!)
「ぷはぁッ!!やっぱ仕事の後の酒はうめぇな。おい、佐和、追加だ追加だ!」
「え゛っ、まだ飲むんですか?」
「あ?佐和、俺はなぁ~酒は飲んでも飲まれる奴じゃねーよ!」
そんな大口叩いた課長は30分後……
どこかで見た光景
気持ち良さそうにイビキかいて寝るか、おい!
「ぐぁ~~、くそっ!」
何度も声を掛けて、体を揺さぶってみても起きる素振りを見せてくれることもなく
どっちみちこんな課長を置いて帰れる訳もなく、これが二度目
鬼課長を俺の家に連れて帰る羽目になってしまった
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