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④
「図星か。ほれ誰だ?社内の人間か?」
そんな態度の俺に課長も分かったらしい
ニヤニヤと悪い笑顔をしながら探りを入れてくる
「いや、だからっ!課長それはいいですから…っ」
「同じ課の奴か?」
同じ、課……ッ
その言葉に思わず反応して顔を上げた俺と課長の視線とが合う
真っ直ぐに貫く鋭い目が、酒のせいで色っぽく見える
ほんのり赤くなった頬に、すぐ隣から感じる体温
荒木課長を見てると触りたくて仕方ない
そう思ってしまうってやっぱり……
「当たりみてぇだな?
佐和、上司様の俺だけに教えろよ?な?誰だ?」
「あ、あの…課長、……俺、俺ッ」
雰囲気に流され、口を開こうとしたその時
携帯の着信を知らせる電子音が鳴り響く
舌打ちしながら課長が電話に出るのを見て……
(待て待て待て、俺っ何ぶっちゃけようとした、おい!)
「はい……は?はい、ええ、進めてますが……え?いやだから、ちょっ!!」
ホッとした俺の耳には良くないやり取りが聞こえる
この感じからして仕事関係だと思うけど、雲行きが怪しい
「何でそんな話になって、……はい分かりました。失礼します…………ちっ!」
でもって、電話が終わった課長の態度を見て俺の予想は当たったと言えた
(機嫌悪ッ!!)
「くそがっあのボケ、話し聞かねぇでッ!」
鬼だ
鬼が降臨している
「俺の企画、勝手に変えやがって!
あぁあーー何が営業課の処理する内容じゃねぇだっ。じゃあ、はなっから話振って来るんじゃねぇ、あーーーちくしょ~っ!!」
テーブルをバンバン叩き、よっぽど悔しい事が、腹立つ事が今の電話であったんだろう
そして…
(うわっ、ヤバい)
「佐和ぁあああ、呑むぞ!
ヤケ酒だろーがなんだろーが呑まずにいられねぇ!注げっ今日はとことん俺に付き合えッ!」
据わった目をした課長に嫌だと言う事が出来る訳もなく
言われるまま酒を注がざるを得なかった
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