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「図星か。ほれ誰だ?社内の人間か?」 そんな態度の俺に課長も分かったらしい ニヤニヤと悪い笑顔をしながら探りを入れてくる 「いや、だからっ!課長それはいいですから…っ」 「同じ課の奴か?」 同じ、課……ッ その言葉に思わず反応して顔を上げた俺と課長の視線とが合う 真っ直ぐに貫く鋭い目が、酒のせいで色っぽく見える ほんのり赤くなった頬に、すぐ隣から感じる体温 荒木課長を見てると触りたくて仕方ない そう思ってしまうってやっぱり…… 「当たりみてぇだな? 佐和、上司様の俺だけに教えろよ?な?誰だ?」 「あ、あの…課長、……俺、俺ッ」 雰囲気に流され、口を開こうとしたその時 携帯の着信を知らせる電子音が鳴り響く 舌打ちしながら課長が電話に出るのを見て…… (待て待て待て、俺っ何ぶっちゃけようとした、おい!) 「はい……は?はい、ええ、進めてますが……え?いやだから、ちょっ!!」 ホッとした俺の耳には良くないやり取りが聞こえる この感じからして仕事関係だと思うけど、雲行きが怪しい 「何でそんな話になって、……はい分かりました。失礼します…………ちっ!」 でもって、電話が終わった課長の態度を見て俺の予想は当たったと言えた (機嫌悪ッ!!) 「くそがっあのボケ、話し聞かねぇでッ!」 鬼だ 鬼が降臨している 「俺の企画、勝手に変えやがって! あぁあーー何が営業課の処理する内容じゃねぇだっ。じゃあ、はなっから話振って来るんじゃねぇ、あーーーちくしょ~っ!!」 テーブルをバンバン叩き、よっぽど悔しい事が、腹立つ事が今の電話であったんだろう そして… (うわっ、ヤバい) 「佐和ぁあああ、呑むぞ! ヤケ酒だろーがなんだろーが呑まずにいられねぇ!注げっ今日はとことん俺に付き合えッ!」 据わった目をした課長に嫌だと言う事が出来る訳もなく 言われるまま酒を注がざるを得なかった

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