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「佐和、迷惑…また掛けちまったな」 俺の聞き間違いじゃない 「い、いえ…それより大丈夫ですか?」 「ああ、まだ頭グラグラするが大丈夫だ」 とは言っても、ベッドに腰掛けた状態から動こうとしない 完全には酒は抜けてないらしく、目がうつろになったりしている 「荒木課長、もう少し水飲んだほうが、いいですよ…」 と、課長の手にしているグラスにもう一度水を入れようと近づいた時… 「お前が一緒だと、どうも安心しちまって…駄目だな」 ……え? 「頼りになるっつーか、いると居心地イイッつーか…… だからか気を抜いて羽目を外しちまう…」 これこそ聞き間違いじゃないか? 今… 俺と一緒だと安心する? 居心地イイッて言った? 「か、課長?」 「…ホッとしちまって、つい呑み過ぎる… すまねぇな、佐和」 これはクる… こんな事言われたら、ダメだ、ダメだ…… そう思っても自然と体が動き出していく 一歩、一歩と課長の前にまで歩く足が止められない 勝手に右手が課長の肩を掴んで…… 「佐和、どうした?」 「荒木課長、俺……」 見上げる課長のその顔に引き寄せられる 首元から耳まで赤みがかった肌 上目遣いに俺を見る鋭い目、その全部が 「おい、佐…ンん!?」 俺を誘う

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