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②
会社に着き、9時仕事開始
しばらくして
「なぁなぁ佐和、そう言えば例の彼女とは上手くいってるのかよ」
「は!?と、突然っ。な、な、な……武藤そんな事いいから手動かせバカ!」
「バカとはひでぇな、首にキスマーク付けてる奴には言われたくねぇ~」
「へ?」
キスマーク?
わざわざ近くの女子から鏡を借りて位置を教える武藤
驚いた
武藤の冗談かと思えば、襟に隠れるか隠れないかの所にクッキリと付けられた紅い印
(え?いつの間に?つーか、これって付けたのって…)
荒木課長が?
俺に……
俺のモノ的な?
「嘘ッマジで嬉しー…」
「お前ら……仕事中にくっちゃべりやがって、いい度胸だな。ぁああ?」
「「ッ!!!!!」」
それから30分程は鬼と化した課長にこぴっどく怒られてヘコみ
武藤の仕事を押し付けられて怒涛のような午前中が過ぎて行く
そして昼休み
荒木課長と廊下ですれ違えば、明らかに睨みを利かせた顔を俺に向けて来た
(そりゃあ、まだ怒ってらっしゃいますよね…)
名前は出してないとはいえ、あんな話しをして、仕事の手を止めていれば怒って当たり前
午後いっぱい営業で外出だし、訪問先は遠いからそのまま直帰していいし
機嫌を直して貰うには今しかない
けど、なんて言ったら……
と、ロッカーに入れてあったある物を思い出した
「あ、あの……荒木課長!」
「ぁあ?……なんだ佐和。お前これから外出だろうが」
「はい、今から出ます……えーと、その……今日はすいませんでした。それで、これ!」
「なんだ?」
「良ければ貰って下さい。酒なんですけど…」
本当はこれを口実に課長の家にまたお邪魔しようと思ってたんだけど……
「ッ、これ『清風名月』じゃねぇか!お、お前これどうやって…」
「荒木課長、じゃあ俺……時間なので行ってきます」
「ちっ……おい佐和ッ!」
歩き始めた俺を呼び止める声
振り向けば、鋭い眼光が俺を射抜く
「酒のツマミも……用意してんだよな?」
そう言った課長の顔がみるみるうちに紅くなって、睨みがキツくなる
それを見た瞬間
「はいっ!!」
俺の口からは勢い良く言葉が飛び出していた
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