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第8話 - ①
春は…
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「荒木、ちょっといいか?」
「部長。はい、なにか……?」
昼飯終わり
部長に手招きされ使用されていない会議室に呼び出された
大抵この場合
(良い話しじゃねぇな…)
そう第六感が働いた
働いてはいた、が…
「お前んとこの佐和なんだが」
「ーーーッ!!」
まさかの奴の名前が出てくるとは思わず、心臓が飛び跳ねる
「さ、佐和が、…ど、うか…しましたか?」
「ああ、他の支店から活が良い奴を1人引き抜きたいとあってな。
今の時期、退職やら異動やらで人手が欲しんだろ?」
営業関係に携わっている社員で、フットワークが利く若い奴
頭が柔らかい若手に今の内、色んな所で揉まれて力を付けさせるには打ってつけ…
そんな人材いないか?
と、観察していて白羽の矢が立ったのが…
「で、お前の目から見て佐和はどう思う?」
まさかの佐和
いや、部長の目利きは案外突いている
この何ヶ月間で嫌と言う程、この俺が実感してはいるから。
あいつの性格は一途でコツコツと物事を成し遂げる努力家で、そして…
「ま……真面目な奴です。面倒見がいいし、良く気が付いて他の連中ともコミュニケーション取れてるとは思います、が…」
「そうか、ありがとよ」
「あ、いえ…」
いや、まさか…だろ?
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