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グツグツと程良い火加減が具材を踊らせて、見てれば見てる程、食欲をそそられる 白い大根おろしの隙間から覗く 表面にこんがりと焼き色が付いた餅がまた美味そうで… 「っ、うめぇ!!」 見た目だけじゃなく本当に美味過ぎる サッパリとしたおろしが腹にいくらでも入る入る 1人で鍋なんか侘しい事この上ないのもあって中々やらずにいるが… 「荒木課長、お酒どうぞっ」 こうやって美味い飯食って、最高の酒を誰かと一緒に楽しめるのが1番の贅沢だと改めて思った 「そうだ、課長。味付け…どうですか?」 「ぁ?ああ、俺の好きな味だ。にしても、佐和…やっぱすげぇな。 こんな美味ェもの作れるなんて、お前すぐにでも嫁に行けるわ」 「……え?か、かかか、課長ッそ、それってッ!」 「ばっ!違ェよ、勘違いすんなッ!ニヤけてねぇで酒注げッ」 「はいっ!」 俺の顔を笑顔で見てくる佐和に腹も立つが、このたわいのないやり取りと 喉に広がるまろやかな喉越しに怒る気力も失せる (何だかんだで、餌付けされてるな俺は) そうとしか思えない 追加で出されたツマミを素直に口に運び、お酌されるたび どんどんと気分が良くなっていく が…… 「あ、そうだ荒木課長。今度は『有明月』が手に入りそうなんです!聞けばこれも人気な銘酒とかで… あの~、それで……また一緒にご飯食べても…」 「ッ、ああ……そう、だな」 「じゃ、じゃ、じゃッ今度は俺、筍の炊き込みご飯やメンマとか作りますね!」 『今度』や『また』と言われるたび 「ッ、ッ…」 心臓がキューーッと握り潰される感覚が襲いかかる 酒はたらふく呑んでるはず なのに、頭は冴える一方でモヤモヤと気持ちが晴れない (くそっ、何でだ…) そんなこんなでついつい酒を呑み続けた結果……

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