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③
「あっ!!か、かかか、課長ッ」
「ん?おぉ、佐和。明後日からの出張の準備は大丈夫か?」
ここ何日か邪魔が入り、課長と中々一緒に帰る事が出来なくなってから、明後日に控えた出張に、俺は居ても立っても居られなくなっていた
「はい、それは大丈夫です!それで、あ、荒木課長…今日のご予定は?あ、あのッお家にお邪魔してもー…」
「今日か?ああ、それは構わねぇが」
「本当ですかっ、あぁありがとうございます!俺、課長に渡したい日本酒があるんです。
すっごく美味しいらしくて、今日どうしても課長に飲んで欲しいのと、ぁああ後、スーパーに春野菜が並んで来たので、一緒に天ぷらとかどうですか?
荒木課長は菜の花やウドとか食べれます?
苦味があるので好き嫌いが分かれるみたいなんですが、天ぷらにしたらすごく美味しくて、それから、えーと…」
「くくくッ…佐和、焦んな。落ち着けって」
かっ
かかかっ
(か……かか、か、可愛い〜ッ)
捲し立てるように話をする俺がよっぽど面白かったのか、楽しそうに笑う課長の笑顔に目を奪われる
久しぶりの会話にテンションが上がりっぱなしの上、すんなりとお家にお邪魔して良いとか、さらに言えば明日は休みな為
あわよくばお泊まり出来るかもと、脳内が目まぐるしい勢いで色んな事を弾き出す
「じゃあ佐和、仕事終わったらー…」
「はいっ、一緒にー…」
「なになに、楽しそうだね。今日、飲みに行く話?なぁ荒木、私も入れろよ」
その声を聞いて、ヒュッと喉が詰まった
まさにデジャヴ
一度あることは二度ある
その言葉通り荒木課長の肩を組み、森課長が現れた
しかも今度は、俺と荒木課長の幸せなひと時をぶち壊そうとしている
「あ?森、お前は呼んでねぇよ…」
「荒木だけズルいな。私も早くこの部署に馴染めるようになりたいんだけど」
トドメの一発と言わんばかり
そして俺を見た課長の顔が全てを物語っていて
「ッたく……佐和、今日は居酒屋でいいか?」
「……、………はい」
嫌だと言えたら、どんなにいいか…
さっきまでの幸せは嘘の様に消え、なぜか3人で飲みに行く事になってしまった
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