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「美味いなこの唐揚げ。あ、そうだ知ってるか、荒木。同期の橋本さぁ、今度台湾に出張って言ってたぞ」 「は?マジかよ、唯一喋れる日本語も危ういのに、あいつに行かせて平気なのかよ」 もっぱら話しは荒木課長と森課長の入社した同期の話し 同期メンバーの絆は他の人よりも強いのは自分も分かる 武藤と俺がそうみたいに、荒木課長と森課長も同じ感じなんだろう 新入社員で会社のノウハウを叩き込まれ、必死に食らいついてはヘコみ、それを仲間皆んなで慰め励まし合った時間を共有しているからか、なんでも言い合えるし、その後の交流も自然と続いていた だからと言っても… (分かるけど、分かるけども…俺も荒木課長と喋りたいんだよッ) 本当は今頃…… 俺の料理を美味しそうに食べる課長を眺めて たわいもない話しをして、お酒を注いで 酔った課長を出張前に目いっぱい堪能しようとしてたのに。 写真も撮り溜めしたかった… 「荒木、ほらもっと飲めよ」 「くくッ、明日が祝日だと気が楽だな」 (あっ課長、それはマズいですって) 心の中で声にならない叫びを上げてしまう 日本酒飲んだ後に、いも焼酎を勧められて その次は美味いから飲んでみろと言われるがままウィスキーに手を出し… 俗に言うチャンポン しかも度数高め 飲んでいる途中にお酒を勧める森課長にヒヤヒヤしながらも、止められず 「おい荒木?荒木?こんな所で寝るなって…」 見事に気持ち良さげに眠りこける課長が出来上がっていた

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