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⑤
くぅー…と課長の寝息が、他の個室からの盛り上がっている声や笑い声などの喧騒と一緒に耳に届く
気まずい空気が漂い始めた時
「で?えーと…佐和、だっけ?」
先に口を開いたのは森課長の方だった
「はい」
「荒木と仲良いんだな。コイツ、愛想も無いし口調も悪いから、誤解されやすいんだよ。
だから私以外に仲良くなれる奴が中々いなくてさ」
「ッ…」
なんだろう
机に伏して寝る荒木課長を見ていた顔を俺に戻した途端に
森課長の目の色が急に変わる
口角を上げてはいるが、目だけ見れば一切笑っていないの明らか
「だからさ、そんな荒木が会社の飲み会以外で、誰かと飲みに行くとか私としては面白くないし、プライベートで仲良くしている佐和が……目障りなんだよね」
「は?」
言われた事が一瞬理解出来なかった
が……
「荒木…送って行くから帰るぞ」
まだ寝ている課長の頭に手を置き撫でるのを見て、グワっと怒りが沸騰する
いくら仲が良いと言えども、これは同僚がする行動ではない
しかも俺に対する挑戦なのか
頭を撫でていた手は、課長の耳をなぞり、頬に触れてー…
「このー…ッ」
俺が森課長の手を退けようとした時
それよりも速く荒木課長が暴れ始めた
「っと、危ないだろ荒木」
「んーーッ」
突然触れた事への違和感なのか、森課長の手を追いやるように振り上げて、また机に伏す
確か以前、飲み会でも確か同じような事があった
起こそうとしたら課長が暴れて、でも俺が話しかけたら…
(もしかしたら、あの時だけかもしれない…けど)
そう思っても、心のどこかに課長が無意識に人を選んで…
いや俺にだけ甘えてくれたなら
こんなに嬉しい事はない
確証は無いけれど、居ても立っても居られず
腰を上げていた
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