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第10話 - ①
鬼課長の心情
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なぜか佐和が出張に行く前
やたらめったらと料理を作っていた
『課長、作り置きしましたので、温めて食べてくださいッ
こっちは明日の分、それ以外は冷凍しておきますからチンして下さいね。
あっ、あと1週間分、よりも沢山作ったので飲みに行く事もないと思いますが、万が一…
飲みに行く時は、絶対ッ皆と、武藤とかと一緒に行ってくださいッ、絶対ですよ!』
『分かった、分かった』
『それから電話しますッ毎日電話しますから』
めちゃくちゃ息巻いてそんな事を言っていた
が……
「荒木、あんまり飲んで無いんじゃないか?」
「あ?んな事ねぇわッ」
森がしつこいぐらいに誘ってくるから、今日だけ良いだろうと、こうして2人で居酒屋に繰り出してはいる
いるんだが……
「ここの店、美味いな」
「あ?そうか?佐和の作る料理の方が美味いけどな」
この頃、佐和の料理ばっか食べているせいか、舌が肥えてきていると自覚してはいる
それまではコンビニ弁当やら居酒屋で済ませる事が多かったが、出汁で取った上品な旨味に、深みがあるまろやかな味付けを口にし続ければ
(やっぱ家で食えば良かったか…)
今更、味付けが濃いだけの料理を食っても、何か物足りない感じだ
仕事帰りに買って帰ったスーパーの安い食材で俺が好きな和食に、酒のつまみにと手際良くあっという間に作る佐和を、横で見ているのも面白い
さらに食べたらこれまた美味いときていて
ホトホト関心する
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