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「はッ、…な、に言って…、部下と上司以外…なにがあるって言うんだ」 森に痛い所を指摘されて、心拍数が上がる それよりも森がなんで俺と佐和の事を知っているのか 焦りからかじんわりと体の中心から熱を発していて、ネクタイを緩めていた 「荒木、ネクタイ緩めると見えるぞ、ここに…」 キスマークが… と、そう呟かれ… こじんまりとした個室だから、テーブルを挟んでも手を伸ばせば届く距離 森の指が首筋に触れてきて、思わず佐和が付けたであろうそれを隠す様に、手を充てていた 「くそッ、あれほどつけるなってー…」 「はぁ〜…やっぱりか。キスマークなんて付いて無いよ」 「なにッ…計ったな」 墓穴を掘った 相変わらず嫌な性格をしている これ以上誤魔化そうとしてもしなくても、コイツにはもう分かっているんだろう ここまでか…と観念し、大きく息を吐いたのち… 「佐和には……好きだ、と言われた。……が、それには応えていねぇよ」 男同士というのもあるが、15歳ほど歳が離れ、周りから信頼信用もされた未来ある若者を、どうこうしようとは思ってはいない 離婚歴があるわ、いつも怒鳴り散らして人望もない俺みたいな奴が隣にいる事自体、おかしいだろう 佐和の隣には、小柄で可愛い女が相応しいというのも分かっている (分かってはいる、いるんだが…) ただその気持ちと反対に 俺を慕ってくれる所も、いつも笑顔でいる性格も、仕事では手を抜かない姿勢も 俺が気楽に居れる空間も あまりにも居心地が良すぎて、手放すのが惜しいとさえも今は感じ… 「じゃあさ荒木…」 自分のダメさ加減に嫌気がさしている所に… 「私と付き合わないか?」 耳を疑う言葉が飛び込んできた

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