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⑥
さらに電話で塞がっていない右耳に柔らかい感触と…
「楽しそうに喋って…見せつけてくれるね」
いつもより低いトーンの声が耳元で囁く
楽しそうに喋る佐和に意識がいっていたのもあり、まさか森が何かするとは思わなかった
「な?な、なにしやがる森ッ。冗談はよせ」
「はぁ…まったく。冗談じゃないのはこっちなんだけど」
すぐ離すと思いきや、反対にきつく抱きしめてくる
ふざけているのも大概にしろ、と森の腕を引っぺ返そうと掴んだ瞬間…
「妬けるな。あと一歩だったのに、さすが番犬…」
森の手が動き
俺の顎を掴んだ
そのまま顔を後ろを向かされて、俺の目に捉えたのは近づく森の顔で…
「お、おいー…ーーッ」
「今日は帰るよ。じゃあな荒木」
唇に柔らかく触れたもの
擦れる鼻先
すぐさま離れたが、笑った森の吐息が鼻を擽る
(嘘、だろ…)
森の行動に呆気に取られ立ち尽くす俺に
握りしめていた電話からは、佐和の喚く声が暫くの間、聞こえ続けていた
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森課長は策士です。
さぁ佐和くんはどうでるか?
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