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第17話

柚木はどんな顔をするだろう。  既に、時遅しで、柚木に思いを告げたと同時に柚木を失うかも知れない。だが、柚木はまだ心配そうに陣内を見ていた。  陣内は都合の良い現実だと思った。 「ジン?」 「柚木……」  陣内は何故か、ソファベッドに横たわっていて、身体を起こす。見慣れないマンションの部屋に、服はフリーサイズのゆったりとした寝巻きに着せ替えられていた。  すぐ傍には陣内が会いたがってやまなかった柚木がいた。 「インターホンが鳴って、会社の誰かかなって思ったら、ジンがいて、部屋に入って来たら、ジン……疲れていたのか、倒れちゃったんだ」  柚木も脳で現状が消化できないながらも、陣内に説明する。 どうやら、陣内は柚木の部屋に入るまで張っていた気が柚木の顔を見たら、ぴんと切れてしまったらしい。 「もう少し、休んだ方が良いよ。退院したばかりなんだし、僕は何か、食べるものでも買ってくるからさ」 「柚木……!!」 「え?」  陣内という青年はこんな風に突然、誰かを抱き締めるような人間だっただろうか。  飄々として、誰とも交わろうとしない人間のように見えた。  ただ、それは「見えた」だけで違っていたのかも知れない。  だから、流石の柚木も後ろから抱きしめられると、すぐには言葉が出てこなかった。 「柚木、今まで悪かった」  以前、「高校生の頃から今まで好きだよ」と言わせておきながら何の返事も返していなかった。それに、恋愛が苦しいのだと言い、柚木が告白する事さえも拒否し、苦しめた。 「今日は聞いて欲しい事があって、ここまで来たんだ」

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