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「日比野は嫌だとか、親の言いなりにはならないとか思わないのか?」 「思ったことないな」  芳賀の問いに日比野は当然のように答えた。 「俺が会社を継ぐのは決まっていることだし、それに見合った結婚をしないと会社のためにならないから」 「そんなものか」  日比野はしばらく黙ってペットボトルを両手で弄んでいたが、しばらくすると顔をあげて、 「キスしないか」 と自然な口ぶりで言った。 「……どうしたんだよ、突然」  当然のことながら芳賀は動揺した。日比野の顔色はまったく変わらないが、実はかなり酔っているのだろうか。 「いつもここでやってることをするまでなんだけどな……どうせ暇だしいいじゃない」  拒否する間もなく脣を奪われる。舌を絡め捕られ根元まで吸われて息が止まりそうになり、脳の芯がくらくらした。 「……ッ」  ようやく解放されて芳賀は荒い息をついた。 「キス上手いんだな……」 「ふふん」  にやにやしながら日比野は芳賀の脚の間に手を伸ばした。 「おい、なにやってるんだ」 「勃ってる」  腰に巻いたバスタオルの上からしごかれて、芳賀は喉の奥から声を漏らした。 「お前と寝た子がさ、すごく大きかったって言うんだよ」 「あ?なんでそんなこと知ってるんだ」 「俺もその子と寝たから」  とんでもない寝物語だと呆れているうちにタオルを取り払われてしまった。 「確かに大きいな」  感心したように呟いて日比野は服を脱ぎ始めた。 「何やってるんだ」 「裸になるんだけど?」 「いや、それはわかってる……」  引き締まった日比野の体を見て芳賀は唾を飲み込んだ。皮膚は体毛が薄くきめが細かくて、その体を触りたい、できれば肌を合わせたいと思ってしまった。それが欲情だと気づくのにすこし時間がかかった。  滑らかなシーツの上に押し倒されて性器を触られながら首筋や鎖骨を舐められる。ぞくぞくと快感の波が押し寄せて芳賀は思わず日比野の腰を掴んだ。 「これ以上したら、取り返しのつかないことになりそうだ」  日比野は濡れた指で芳賀の顎を掴んだ。 「別にいいじゃないか」

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