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第12話

「ああ、職員会議だって」  さっき出て行った古典教師を思い浮かべながら答える。 「そうかあ。うちの父の蔵書の中に先生が欲しがりそうな本あったから、持ってきたんだけど。で、城ケ崎はなにしてんの?」 「ああ、竹田先生に本の整理頼まれてさ」  机の上に積まれた本の山を指さした。 「えっ、これ城ケ崎一人でやるつもり?大変だろ。俺、手伝うよ」 「でも蔵元、予定とかあるんじゃない?」 「城ケ崎と一緒でもう合格も決まってるしね。あとの予定は遊ぶことくらい」  そう言って蔵元が机の上の本を一冊手に取った。 「これどういう順番で並べるの?」 「50音順かな」 「じゃあ、まず並べて。それからキャビネットにしまおう」  蔵元はそう言うと、てきぱきと本の山を崩していく。  流石、頼りになるな。  俺はそんなことを考えながら、隣で流れるように光る蔵元の金色の髪を見つめた。  書籍を整理し始めてから15分ほど経った。  俺は朝から感じていた熱っぽさがますます酷くなっていた。  なんだかやけに息苦しいと思い、シャツのボタンを一つ外す。  蔵元に謝って、先に帰らせてもらおう。  そう考えて蔵元を見ると、彼も俺を見つめていた。  蔵元の青空みたいな瞳の色が濃くなり、夕闇を思わせる。 「城ケ崎……お前気付いてないのか?それ」 「えっ?」  ふいに蔵元に手首を掴まれ、強く引き寄せられる。 「ちょ、何?」  抵抗しようとしたが、蔵元の胸元から立ち昇る香りを嗅いだ瞬間、くらりと眩暈に襲われた。  息が荒くなり、腹の奥に重ったるい熱がうまれる。  嘘だろ。俺、勃ってる。  何もしていないのに、自分の下着の中が濡れる感触があった。 「城ケ崎。お前、ヒートになってるんだよ」  俯いていた顔を上げると、蔵元と目が合った。  蔵元は楽しそうに笑っていた。 「お前のせいで俺もこんなだ」  蔵元が猛った股間を俺の腰に押し付ける。  コレガ、ホシイ。  本能が叫ぶ。

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