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第68話
次男は本当に「成澤 冬(フユ)」と名付けられた。
「悪い名前じゃないだろう?」
「確かにそうだけど」
夕飯後、食器を洗いながら俺は憮然と返した。
「なんだよ。お前が名付けたかったのか?」
「そういうわけじゃないよ。だけどもうちょっとちゃんと考えても良かったんじゃないかなって」
俺の手渡した皿を樹が丁寧に拭いていく。
「勝手に決めたのは悪かったけどさ。俺は唯希が付けてくれるのが一番だと思ったんだ。ほら唯希も自分で名付けた弟のこと、可愛がってるじゃないか」
確かに唯希は自分が寝る寸前までベビーベッドの中の冬に話しかけ、頬を撫でていた。
冬も唯希のことが好きなのか、まるで兄の話に聞き入っているかのように、ぐずったりもせず、大きな瞳でじっと唯希を見つめていた。
「まあ、そうだな。これで兄弟仲良く育ってくれれば十分か」
俺が最後の皿を渡すと、樹が大きく頷いた。
「さあ、子供たちの話はそろそろお終いにして、これからは大人の時間だ」
樹はそう言いながら俺の手首をひく。
「冬は?大丈夫?」
「さっきミルクをあげてオムツを替えておいた。今はぐっすりと眠っているよ」
「そうか」
それでもちらちらとベビーベッドの方を気にする俺に樹がくすりと笑いを漏らす。
「ドアは開けておくから」
寝室に入った途端、俺をベッドに押し倒し、樹が言う。
「うん。あっ」
すっかり硬くなったジーンズの前を樹に押しつけられ、俺は顔を赤らめた。
「真」
切なそうに目を細め、俺の名を呼ぶ樹を見るとたまらない気持ちになる。
樹の後頭部を掴み、乱暴に唇を重ねた。
樹は一瞬息を飲んだが、直ぐに舌を絡める。
樹はキスをしながらあっという間に俺を裸に剥いた。
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