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第93話

「真。イク」 「熱っ。ああ、ああっ、気持ちイッ。イク、あ、だめ、あっ」  熱い飛沫に中を濡らされ、俺は何も出さずにイってしまう。  横向きに倒れると、樹が繋がったまま背後から俺を抱きしめた。 「真。噛んでごめんな。痛かったろ?だけど、最高に良かった」  樹が自分の付けた嚙み痕をペロペロと舐める。  俺は微笑んで腰にまわされた樹の腕にそっと触れた。 「いいよ。俺もすごく気持ちよかったから」 「でも真、ちゃんとイってないだろ?」  樹の手が俺の屹立に伸び、先端の括れを優しく撫でる。  俺は快感から息を詰めた。  ださなくても俺がちゃんとイッたのは樹だって分かっているはずなのに。  俺がお返しとばかりに中の樹を締めつけると、樹がうめき声をあげた。 「何だよ。ちゃんとイキたいかと思ったのに。こっちだって勃ちっぱなしだろ?」  俺の屹立を撫でている手とは別の手で、樹が俺の乳首を摘まみあげた。  そこは確かに乳輪からふっくらと腫れ、先端が疼くほどピンと勃っていた。 「ん、そこ、やあっ」 「嫌じゃないだろ?ほら、こっちも濡れてきた」  樹は指先でコリコリと乳首を弄び、俺の屹立の先端から滲んだ蜜を親指の腹で塗り広げた。 「あ、ああ、や、またイク。イッちゃ、あんっ」  樹がぬぽぬぽとゆっくり腰を動かし始める。  樹の掌の中の俺の屹立も完全に形を変えていた。 「なあ、どこが一番気持ちいい?乳首か?ちんこか?それともここか?」  樹が奥まで腰を突き入れる。 「全部。全部っ気持ちイイ」  樹が俺のこめかみにキスを落とす。 「可愛いな。真」  満面の笑みを浮かべた樹が俺の乳首の先に爪をたて、屹立を袋ごと揉みこむ。  腰も激しく動かされ、俺は悲鳴のように喘いだ。 「や、ああ、ダメ。ダメっ。死んじゃぅ。気持ち良くて死んじゃうからぁ」 「大丈夫だよ、真。死ぬときは一緒だ」  そう呟く樹の首筋を引き寄せ、唇を奪う。  樹が中に放った瞬間、俺も驚くほど大量の白濁を樹の掌にぶちまけていた。  俺の喘ぎは樹の口内に全て吸い取られた。  樹は屹立をゆっくり抜くと、俺の体を反転させた。  俺のまつ毛に滲んだ雫を唇で吸い取る。 「たまには恋人気分もいいだろ」  上機嫌の樹を睨みつけた。 「たまにならな。こんなの毎日されたら死んじまう」  樹は俺の言葉を聞いて声をたてて笑った。 「明日は唯希を迎えに行って、それから冬も。ああ、瑞樹さんに冬を預かってくれたお礼に何か買っていこうか?瑞樹さん、紅茶好きだから、缶入りの紅茶がいいかなあって」 「ストップ」  話し続ける俺の唇に樹が人さし指を置いた。 「親になるのは明日からだ。今日は俺達ただの恋人同士だろ?」  俺は笑うと、樹に抱きついた。 「そうだったな。色んな事を考えるのは明日にしよう」  樹はその言葉に満足したのか、俺の体をぎゅっと抱きしめる。  俺は樹の温かい腕の中を久々に独り占めした。

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